女性の起業マインド「ちっちゃいビジネス」が起業の距離縮める
仙台市では初めての「仙台起業家週間」が設定され、2016年1月22日から31日までの日程でさまざまなイベントやセミナーが開かれます。卒業、退職シーズンを間近に控え、起業を目指す人たちにとっては、注目の週間になりそうです。長年、起業支援に取り組んできた株式会社「ゆいネット」代表取締役の稲葉雅子さんに女性の起業志向について話を聞きました。稲葉さんは「仙台起業家週間」のメーンイベントの一つ「TRYマルシェフェスタ」を主催します。
「ちょっと前なら『起業』と言えば、『ホリエモン』のような人を指していました。ビジネスの分野を革新的に変えようとするイメージ。今でも、そうしたエネルギーにあふれた起業を志向する人々もいますが、最近では40代、50代を中心に女性の起業志向が強まっています。起業の分野も幅広く、多様です」 稲葉さんが指摘する女性の起業志向を示す例の一つに「ちっちゃいビジネス開業応援塾」があります。仙台市の「地域ビジネス創出支援事業」(平成26年度)として「ゆいネット」が取り組みました。事業分野を問わずに開業支援のためのワークショップ、勉強会、交流会などを実施しました。260人の参加者のうち、うち78%にあたる202人が女性だったそうです。 「女性の場合、自分がやりたいことがそのまま社会とつながることに魅力を感じています。また、自分だけの商品やサービスをいつかは多くの人に買ってもらったり、使ってもらったりしたい。その夢を実現するためなら、今は別の仕事をしてでも頑張るという人が多いのが特徴的です」
男性のように起業すると決めたら一直線、自分にできるかどうかの検証を何度も重ねながら突っ込むのとは対照的。「ちっちゃいビジネス」という言葉の響きが、起業との距離を縮めたともいえそうです。女性特有の柔軟で、粘り強い起業マインドは、起業分野の裾野を一気に広げる可能性もあります。 「わたしたちの起業サポートは、趣味で作っていた愛犬の服を人にあげて感謝されるだけでなく、たとえば『2000円で買ってもらった』などと貨幣価値に交換できるようになった場合を『起業』と考えます。法務省なら法人登記の数字が重要ですし、厚生労働省の場合は、社長一人の個人事業主を『起業』とは呼びません。雇用が発生し、雇用保険の手続きをとって初めて『起業』と認められます。わたしたちの「起業」は、そうした国の考え方のずっと手前にあるものです。その意味での起業に対する社会的支援が実は弱いと思うのです」 (メディアプロジェクト仙台:佐藤和文)