【オークス】距離延長◎のサフィラの激走に期待 対抗は能力値1位の桜花賞馬ステレンボッシュ
スローペースでも逃げ、先行馬は苦戦傾向
過去10年でオークスがハイペースになったことは一度もない。大半の馬が大幅距離延長になることが影響し、平均~かなりのスローペースで決着している。それでも前へ行く馬は脚をタメても最後に甘さを見せてしまう。この10年の間に逃げ馬の3着以内はゼロ、先行馬は1勝、2着5回と、前に行く馬は苦戦傾向にある。また先行馬の1勝は過去10年でもっともスローになった2017年で、勝ち馬は1番人気のソウルスターリングだった。 【オークス2024 推奨馬】勝率40%、複勝率80%データ該当で死角なし! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) ここはできるだけ後半型の馬を中心に予想を組み立てたい。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ステレンボッシュ】 阪神JF2着、桜花賞1着の実績はここでは最上位。前々走の阪神JFでは中団中目でアスコリピチェーノをマークし、最後の直線でも同馬の後ろを狙ったが、進路を作れずにまごついて仕掛けが遅れ、結果クビ差の2着だった。 前走の桜花賞は12番枠から出遅れて後方からの追走。3~4角でも中団馬群の中目で進め、4角では包まれかけたが、やや外に膨らんだアスコリピチェーノを外に弾くやや強引な形ながら内から抜け出して直線へ。序盤で追われると4列目から一気に先頭列まで上がり、ラスト1Fでもしぶとく踏ん張り、アスコリピチェーノを寄せ付けずに3/4差で完勝した ステレンボッシュはゲートが甘い末脚型のため、進路を取り切れない面はある。先行タイプの桜花賞馬はオークスでも積極策をとり、苦しい競馬になることが多いが、差しタイプは結果を残せている。芝1600mよりも芝2400mのほうが出遅れのリスクは小さく、ここも崩れずに走ってくる可能性が高いと見る。対抗候補だ。 【能力値2位 スウィープフィート】 武豊騎手に乗り替わった前々走のチューリップ賞で重賞を初制覇し、前走の桜花賞でも4着と好走した。前走は7番枠から五分のスタートを切って、中団中目から最後方まで下げ切った。3角で最内を通って4角で外に誘導したが、外のライトバックに蓋をされて出せず、進路を作りきれないまま直線へ。直線序盤で外をあきらめ中目を割って伸び始めたが、まだ後方。ラスト1Fでもしぶとく伸びたが、3着ライトバックと半馬身差の4着となった。 前々走では最後の直線で中団の大外から伸び、ラスト1Fで先頭に立ち、そこから抜け出して1馬身1/4差で完勝。末脚一閃の内容だったが、稍重のやや時計が掛かる馬場状態で1分33秒1の好タイムが出ているように、レースが緩みなく流れた差し有利の展開だった。実際に中団中目を上手く捌いて上がった15番人気のハワイアンティアレが3着に好走している。 前々走の内容から桜花賞では無印だったが、結果的には意外とがんばれた。鞍上が前々走時のように、展開を読んで後方からレースを進めたのが良かったと見ている。最後方まで下げる必要があったかはともかく、脚をタメたことで、ラスト1Fで苦しくなった馬たちを差して着順を上げた。エルフィンSと前走でライトバックに先着されてしまったが、エルフィンSは最後の直線で馬場の悪化した内を通っており、前走はライトバックに先に動かれたのが敗因。ライトバックとはそこまで大きな差はない。 【能力値3位 ライトバック】 新馬戦は出遅れ、折り合い重視で前に壁を作って後方からレースを進めていたが、最後の直線半ばまで進路がなかった。残り300mくらいで外に持ち出すと、グングン伸びて着差以上の強さを感じさせた。続くアルテミスSでも1番枠から出遅れて、頭を持ち上げるほど掛かって前の馬とのスペースを詰め切ってしまい、結果的に自ら包まれにいく形に。直線序盤でも進路がなく、直線で中目を捌きながらなんとか伸びてきたが、前も止まらず4着が精一杯だった。 このように折り合いにかなり課題のある馬だが、前走の桜花賞ではデビューからこれまでのレースでもっともペースが速くなったこともあり2着アスコリピチェーノにクビ差まで迫る3着と善戦した。 前走はエルフィンSの内容がそこまで強調できるものでもなかったため軽視したが、強さを再認識させられた。ただ前走は上手く折り合って末脚勝負に徹することができた面もある。今回もペースが上がって上手く折り合えればいいが、前に行きたくて仕方ない馬が、控えて末脚を生かしたい鞍上と戦いながらレースをすることになる可能性もあるので、馬の気性が勝って暴走しても不思議はない。勝ちにいくと失速の可能性もあるが、後半に徹する競馬ができれば。 【能力値4位 クイーンズウォーク】 前々走のクイーンCの勝ち馬。前々走は大外13番枠から五分のスタートを切ったが、じわっと下がって中団やや後方を追走。道中も後方2列目の外で進めて、3~4角でもそのまま外から直線へ。序盤で追い出されると中団付近まで上がり、ラスト1Fでは1馬身半差ほどあった先頭との差をしっかり詰めてかわし、内から捌いて上がったアルセナールをクビ差で振り切った。前後半4F47秒1-46秒0のややスローペースで内と前有利の流れ。それを3~4角で大外を回るロスを作って、上がり最速で勝利した点は評価できる。 前走の桜花賞は前々走で好走した疲れがあったようで、最後の直線で伸び切れずに8着に敗退。また前走は結果的に外から被されて中団まで位置を下げる形になったが、2番枠だったこともあり、五分のスタートから思い切って前を狙っていったことが祟った面もある。 前々走の内容から今回の距離延長で好転する可能性がかなり高い。さらなる成長があればチャンス十分だが、末脚型の桜花賞上位馬よりも前の位置を取りたいところではある。 【能力値5位タイ アドマイヤベル】 デビューから上昇一途で、前哨戦のフローラSを優勝した。フローラSは8番枠から五分のスタートを切り、そこからコントロールしながら好位の直後を追走。向正面でエルフストラックが好位の外まで上がると、そこで一列下げた。3~4角では中団中目で仕掛けを待って4角出口で外に誘導し、4列目付近で直線へ。直線序盤でもまだ仕掛けず、ラスト2Fで追われるとここからしぶとく伸びて先頭列付近まで上がった。ラスト1Fでもうひと伸びして抜け出し、1馬身差で完勝した。 末脚一閃というレースぶりではなかったが、ある程度前の位置からいい脚を長く使っていた。またデビューから一貫して中距離路線を使われており、前走の桜花賞から大幅に距離が延びる馬たちよりも距離適性の面でアドバンテージがある。 2016年のこのレースの2着馬チェッキーノのように、桜花賞とフローラSの指数が同等レベルな年や桜花賞の上位馬が不在時にフローラSの勝ち馬が活躍することが多いが、今年は桜花賞の上位馬にやや見劣るものだった。ただし、桜花賞3着、4着馬は最後方付近で脚を溜め、距離をもたせた馬たち。それらに対して、逆転の余地は十分にあると見ている。3番手評価としたい。 【能力値5位タイ タガノエルピーダ】 京都芝1600mの新馬戦は、前半3Fが36秒4、同4F48秒8と超スローペースを逃げ馬の直後で我慢して進め、ラスト2F11秒0-11秒0の流れを差し切って勝利した。同日の京都芝1600mの2歳未勝利と比較しても4F通過が1秒4も遅いペースでありながら、走破タイムが0秒2速い後半勝負を好指数で勝利していることから朝日杯FSの当コラムでは本命候補とした。 朝日杯FSは前半3Fが34秒1、同4F46秒1のかなりのハイペース。前半からレースが流れている中で、前のセットアップの最内から並びかけそうになった時は、失速してしまうのではないかと見ていたが、シュトラウスが押し上げてくれたことで悪くない位置で進めることができた。結果は2着とクビ差の3着だったが、もう一列下げていれば逆転もあった内容。阪神JFに出走していれば3着コラソンビートに先着の指数を記録した。 そこからの復帰戦となった前々走のチューリップ賞では、朝日杯FSの疲れが残っていたのか4着に敗れたが、前走の忘れな草賞では復活V。なかなかの好指数での勝利だったが、ラスト1F12秒1と明確に甘さを見せた。 デビューからチューリップ賞までマイル戦を使われており、中距離よりは短距離寄りの馬。前走からさらに距離が長くなるのは好ましくないだろう。前走時のように前の馬がしっかりレースを引っ張ってくれればいいが、今回のメンバーだと先行することになりそうだ。ただし、デビュー2戦目にGⅠで好走できるのは潜在能力が高くなければ難しい。デビュー2戦目でGⅠレースを好走すると、しばらくスランプになる馬が多いなか、早々と復活を果たせた辺りに体質の強さを感じさせる。その点は気に留めておきたい。 【能力値5位タイ コガネノソラ】 勝ち上がるのに4戦とやや苦労したが、そこから3連勝でスイートピーSを制した馬。前走のスイートピーSは5番枠からやや出遅れて後方からの追走になったが、押して中団やや後方まで挽回。道中では中団列が壁になってなかなか動けなかったが、4角出口で外に出して直線へ向いた。直線序盤で追われ伸び始めは地味だったが、ラスト2Fでグンと伸び、ラスト1Fで先頭のニシノティアモを詰め切ってクビ差で勝利。3着馬には3馬身差をつけた。縦長の隊列、前後半4F45秒6-48秒1のかなりのハイペースのレースだった。 ここに来て着実に地力をつけているのも確か。今回も展開に恵まれればチャンスはあるが、前走ほどのハイペースを期待しにくい点を考えるとどうか。