あるイギリス人は言った「被爆者の話を聞いたら核廃絶運動をせざるを得ないね」被爆者と海外の架け橋目指す若者 「語り継ぐ―戦争を知らなくても」(2)
ウクライナに侵攻したロシアによる核の脅しや北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の核戦力増強、日本やポーランドなどで出ている「核共有」拡大論…。広島と長崎への原爆投下から78年がたち、核使用への懸念は米ソ冷戦時代以来、再び高まっている。核の悲惨さを最もよく知る被爆者の平均年齢は85歳を超え、記憶の風化が叫ばれて久しい。そうした中、戦争の歴史や被爆の実相を学び、非戦とや核兵器廃絶のメッセージを積極的に発信する若い世代もいる。平和の実現に向け何ができるのか―。被爆者と交流し、その思いと体験を海外にも伝えてきた女性に話を聞いた。(共同通信=野口英里子) ※この記事は、記者が音声でも解説しています。共同通信Podcast #35【きくリポ】を各種ポッドキャストアプリで検索いただくか、以下のリンクからお聞きください https://omny.fm/shows/news-2/8 ▽「若者には社会を動かす力がある」高校生平和大使を務め、核廃絶の署名を集めた大内由紀子さん(19)
高校2年だった2021年7月から約1年間、核兵器廃絶を訴える署名を国連に届ける「高校生平和大使」を務めました。新型コロナウイルス禍のため国連を訪れることはできませんでしたが、毎月、学校などで署名を呼びかけました。平和大使の仲間と協力し、ロシアのウクライナ侵攻に反対する署名も約5千人分集め、日本の外務省に提出しました。 生まれ育ったのは原爆が投下された広島市から離れた広島県福山市ですが、小学生の頃から平和の問題に関心が強かったんです。きっかけは、小学4年生の時に初めて訪れた広島市の原爆資料館でした。放射線の影響で髪の毛が抜けた子どもの写真など悲惨な展示を見て「二度と同じことは起こってほしくない」と心に刻みました。 高校生平和大使の存在を知ったのは中学2年の時。新聞記事を読み、国連を訪ねるというスケールの大きさに魅力を感じました。スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんによる「学校ストライキ」を機に気候変動対策を求める運動が世界に広がったように、若者には社会を動かす力がある。その力を生かしたかったのです。