夏を祖父母の話を聞く季節に。戦争体験証言集『孫たちへの証言』が今年も刊行/大阪
遠い存在だった戦争を身近に感じる
終戦記念日を迎える夏は、足元を見直す好機だ。福山さんは「お盆の帰省などで家族が集まりやすい夏を、孫たちがおじいちゃんやおばあちゃんの昔話を聞くために活用してほしい」と呼びかける。「空襲で逃げ惑ったり、学童疎開で辛い思いをした体験を、肉親から聞くことで、遠い存在だった戦争を、急に身近に感じられるようになる」からだ。 福山さんは証言集の著者たちに対し、孫が通う学校の教師に証言集を献本することを薦めている。教師が証言集をクラスの生徒らに紹介することで、戦争体験がより多くの若手世代に引き継がれるほか、「先生がほめる立派な本を書いたおじいちゃんは偉い」と、祖父母世代を敬う心も芽生えてくるという。 27年間の応募総数は1万7888編で、掲載総数は2140編。証言集に刻まれた「それぞれの戦争」の意味は重い。子育て世代は家族全員で読んでほしい。『孫たちへの証言』27集は新風書房で販売中、1300円(税別)。詳しい問い合わせは同社(06・6768・4600)まで。 (文責 岡村雅之/関西ライター名鑑)