FIAのベン・スレイエム会長に、新たな疑惑が浮上。F1肝いりのラスベガスGPを妨害?
FIA会長のモハメド・ベン・スレイエムは、ラスベガスGPのコースをホモロゲーションしないよう命じた疑惑が、英BBCによって報じられた。 F1 【F1|ハイライト】2023年F1第22戦ラスベガスGP 決勝 BBCの記事によると、内部告発者は昨年11月の初開催ラスベガスGPを前に、FIA会長の命令でストリートコースをホモロゲートしないよう言われたという。 この主張はFIAの倫理委員会に提出されたコンプライアンス・オフィサーによる報告書に含まれており、BBCはそれを見たとしている。 2023年に初開催されたラスベガスGPだが、現地オーガナイザーの建設工事によりサーキットの視察準備が整うまでに遅れが生じた。その後、内部告発者によると、彼らはベン・スレイエム会長の指示のもと、会場が安全だと言えないような問題点を見つけるようマネージャーから命じられたという。しかし、問題は見つからなかった。 ラスベガスGPは、パドックエリアがF1のオーナー企業であるリバティメディアが買収した土地に作られるなど、F1にとって肝いりのレースだったが、これをFIAが妨害したようにも見える。一方で、単にコースの安全性を担保しようとしているとも解釈できる。 ベン・スレイエム会長は、前任のジャン・トッド時代よりもFIAとFOM(フォーミュラワン・マネジメント)との関係ははるかに強固になっていると主張しているが、その主張とこの告発は相容れないモノに見える。 motorsport.comの姉妹誌である『GP Racing』との独占インタビューで、ベン・スレイエム会長はFIAとFOMは常に同意しなければならないのかと質問され、次のように答えている。 「いいや。FOMにはFOMの主張がある。しかし今、私が会長職を引き継いでから、私たちはともにずっと良い立場にいる」 「もし過去に戻って、例えばメディアから叩かれたときに起こったことのいくつかを変えられると言われたとしても、私は何も変えないだろう」 「ラスベガスの例を挙げよう。FIAの会長は、新しいサーキット、あるいはすべてのサーキットのホモロゲーションに署名する人だ。私はそれを支持した」 「(視察が間に合わなかったから)ノーということもできた。だがチームが安全だといったらすぐに……私はドライバー出身だから、ドライバーやその周りの人たち、スタッフやマーシャルの健康を気遣う。私はそれを実行したんだ」 「重要なことだった。もし私がノーと言っていたら、(F1にとって)悲惨なことになっていただろう。だがホモロゲーションされた。私はこのスポーツを愛しているから慎重なんだ」 「結局のところ、我々は同じ船に乗っているんだ。使命は違うかもしれない。でも同じ船に乗っている。このスポーツを沈没させるわけにはいかない」 ベン・スレイエム会長は、2023年サウジアラビアGPでフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)に対して出されたペナルティを撤回するよう、スチュワードに電話をしたとして、同じ内部告発者から告発されており、倫理委員会による調査が行なわれているようだ。 motorsport.comがコメントを求めたところ、FIAは次のように答えた。 「FIAは、コンプライアンス・オフィサーがFIAの特定のメンバーが関与している可能性のある疑惑について詳述した報告書を受け取ったことを確認している」 「コンプライアンス部門は、このような問題で一般的に行なわれているように、手続きが細心の注意を払って適切に行なわれるよう、これらの懸念事項を評価している」
Matt Kew