F1は新車発表から要警戒! パドックに大きな衝撃を与えた”ビックリドッキリ”デバイスたち
各チームが続々と新車を発表し、F1はいよいよ2024年シーズンに向けての動きが本格化してきている。今回は、新車発表直後に話題を呼んだ5つのソリューションを振り返る。 【ギャラリー】ビザ・キャッシュアップRB、2024年マシンVCARB 01を公開 ■ダブルディフューザー(2009年:ブラウンGPなど) まずは2009年のダブルディフューザーに着目しよう。この年は前シーズン末に世界的な金融危機が発生し、ホンダがF1から撤退した激動の時期だった。ホンダのワークスチームはロス・ブラウンにたった1ドルで売却され、マシンとチームにはブラウンの名前が刻まれた。 そしてこの年はレギュレーションが大幅に変更され、マシンの空力に関する規則も一新された。ホンダは多額の資金を費やし、レギュレーションのグレーゾーンを発見し、ディフューザーを複層化することでダウンフォースを稼ぐことを思いついたのだ。 F1の面白いところは、トヨタやウイリアムズも同じ手法を考えつき、開幕時からダブルディフューザーを使える状態にしてきたことだが、その他のチームはすぐにパフォーマンス面でダブルディフューザーが大きなアドバンテージをもたらすことに気づいた。 中でもブラウンGPが最高のパッケージを持っていることは明らかであり、その足を引っ張るためにダブルディフューザーを禁止するか、追いつくために独自のダブルディフューザーを開発するかの2択だった。 実際、シーズン序盤にこのデバイスに対する抗議が提出された。一方でほとんどのチームが並行して独自バージョンの開発を進めていた。 そしてFIAの控訴裁判所はダブルディフューザーは合法だと判断した。レギュレーションでは、マシンを下から見た際に問題となる部分については記述があったものの、レギュレーションで定められたフロアの切り替え部分に垂直に穴を開けることができた。 そしてこの穴はディフューザーのアッパーデッキへの空気の通り道となり、本来のディフューザーの上に気流を引き抜く手段となった。 もともとダブルディフューザーの使用を念頭に置いて開発をしていなかったいくつかのチームは、シーズン中に最適なソリューションを見つけることができなかった。例えばブラウンGPとタイトル争いを繰り広げたレッドブルは、リヤサスペンションをプルロッド式にした影響で、ダブルディフューザー設計の自由度が狭く、ギヤボックスの位置を持ち上げるという苦肉の策でこれに対応した。