「抗ウイルス薬、ワクチンの開発進める」 国立感染症研究所、新型コロナウイルスの分離に成功
国立感染症研究所(東京都新宿区)は31日、新型コロナウイルスの分離に成功したと発表した。同研究所の脇田隆字所長は会見で、中国で報告されている遺伝子配列と99.9%一致したことから「同じウイルス」と判断したと説明。ウイルスの分離により「抗ウイルス薬やワクチンの開発を進める」と話した。 【動画】新型肺炎のウイルス分離、国内初成功 感染研が記者会見
脇田所長は、新型ウイルスが「(2003年に流行した)SARS(コロナウイルス)に近い」との認識を示し、存在する抗体が使えれば「一月という単位で(薬が)使えるようになると思う」と述べた。一方、「ワクチンの開発には年単位で時間がかかる。分離したからといって『半年(でつくれる)』とは申し上げにくい。コロナウイルスのワクチンは、SARS、MARSで開発されてこなかったのは難しさがあった(から)」とも説明した。 今回の成果を踏まえて「迅速診断法の開発」も進めていく姿勢を示した。 脇田所長は「感染対策に役立てるために、ウイルスと分離した細胞をWHO(世界保健機関)などの枠組みを使って国内外で共有する」と話した。 ウイルスの分離は、中国での成功が報じられていた。新型コロナウイルスによる肺炎は、2019年末から中国湖北省武漢市を中心に感染が拡大。WHOは1月31日、「緊急事態宣言」に当たると発表した。日本国内でも1月16日に感染が確認されて以来、11例が判明している。