マンガキャラも演じてきた阿久津仁愛、「これからは役を自分に寄せたい」と話す理由
31日公開の映画『邪魚隊/ジャッコタイ』で時代劇に初挑戦
俳優・阿久津仁愛(23)が、今月31日公開の映画『邪魚隊/ジャッコタイ』で初めての時代劇に挑戦している。江戸幕府の密命で訳ありの死刑囚たちが、隠密捜査部隊『邪魚隊』として活躍する物語。阿久津は邪魚隊に協力する侍の水野平馬を演じている。阿久津は第27回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを獲得し、芸能界デビュー。ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンで主演し、近年は舞台に加え、BLドラマでのダブル主演も経験している。そして、ラップやダンスが飛び出すコミカルな時代劇の中で躍動する阿久津が、同作の舞台裏や役との“距離感”について語った。(取材・文=大宮高史) 【写真】映画『邪魚隊/ジャッコタイ』ポスタービジュアル ――『邪魚隊/ジャッコタイ』の作品として印象は。 「時代劇だけど時代劇じゃないというか、ストーリーが進むにつれてファンタジー要素が強くなってきます。僕の他にもミュージカルや2.5次元で活躍している俳優さんが集まったからこそ、このコミカルでバトルもある新しい形の時代劇が実現したのかなと思います。そこに僕自身、責任感も感じます」 ――邪魚隊は怪しげな教団『お太鼓教』を捜査し、そこに生き別れの姉がお太鼓教にいると思った平馬が協力します。平馬という役へのイメージは。 「平馬はかわいいですね。田舎侍ながら見た目はキリっとしているのに、感情のままに邪魚隊の面々についていってしまうところが人間くさくて。でも、姉を探す気持ちや鱗蔵との関係では重いテーマも描き込まれています。クライマックスでは平馬が歌で活躍するので、そこに至るまでの彼の思いを想像して、歌も披露できました」 ――現場の雰囲気はいかがでしたか。 「役者側のアイデアも受け入れてくださる現場で、台本とはまるで別の展開になったシーンも多いんです。ギャグ要素が更に強まって、出番がないシーンでも側から見ていて笑いをこらえるのに必死でした(笑)。お太鼓教の幹部の刈谷が邪魚隊に拷問される場面なんて、拷問と言っても全然恐ろしさがなくてほぼコントです」 ――お太鼓教から情報を引き出そうと歌舞伎役者に変装する場面もあり、平馬とも違う格好いい阿久津さんが見られるかと。 「あの場面、僕はクランクインして最初に撮ったシーンなんです(笑)。髪も垂らして色っぽく見せて普段とは違う姿に、僕自身も気持ちが高ぶりました」 ――邪魚隊を率いる主人公・鱗蔵役の佐藤流司さんの印象は。 「すごく面白い方で、話をするといつも笑わせてもらいました。流司くんは好きなマンガが何作もあって、魅力を熱弁してくれたりしていました」 ――どんな場面が記憶に残っていますか。 「平馬が邪魚隊と初めて出会う場面です。リハーサルが1日しかなく、カットなしの長回しのシーンだったので僕も全く気が抜けなかったのですが、流司くんの目力とパフォーマンスに鳥肌が立ちそうでした。『人に気持ちを伝える力がとても強い方だな』と思いました」 ――兼崎涼介監督からは、アドバイスはありましたか。 「衣装合わせのところから細かな所作をチェックしていただいたので、自分は監督が作ってくださった土台に全力で乗っていく感覚でいました。僕自身でもモニターでしぐさを確かめて、くせをなくしていきました。とはいえ、『ゴリゴリの時代劇ではないから、古風な立ち振る舞いにこだわらなくていいよ』とアドバイスしてくださったので、不安なく演じることができました。ギャグに笑ったり、友情にホロりとなったり、緩急の効いた作品になったと思います」 ――音楽は、阿久津さんが21年に出演した舞台『鬼滅の刃其ノ弐 絆』でも作曲を担当した和田俊輔さんです。 「『鬼滅の刃』で僕は累を演じましたが、その時に和田さんの仮歌を聞いて泣いてしまったほど、音楽で人の気持ちを動かせる方だなと思っていたので、またご一緒できることが光栄でもあり、楽しみでした」