2024年秋ドラマ23作、“視聴率無視”で採点「実話ベースの感動作」「定番“イヤミス”からの令和版アップデート」
■『Qrosの女』 月曜23時6分~ テレ東 出演者:桐谷健太、影山拓也、田村保乃ほか 寸評:作品のテーマはゴシップ。芸能界と週刊誌業界が舞台の物語だけに、どこかで見たような現実を巧みにオーバーラップさせていく。ただ、個人の人生がエンタメとして消費されていく様子や芸能界の裏話にどこまで興味を持てるか。「キュロスの女」のエピソードをもっと盛り込んでミステリー&サスペンスを加速させたいところ。 採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 期待度☆】
■『民王R』 火曜21時~ テレ朝 出演者:遠藤憲一、大橋和也、あの、満島真之介ほか 寸評:初回から「遠藤憲一劇場」に「あのちゃん劇場」を絡めて、前作の「菅田将暉劇場」に負けない対比の面白さで引きつけた。政治風刺というより政治イジリは健在で、悪ノリに近い楽しさがある。どう見ても政治家にしか見えない岸部一徳や金田明夫と、どう見ても場違いなあのや大橋など、キャストのバランスも絶妙。しかし、「入れ替わりは全国民」という何でもアリの設定は、各話の面白さにバラつきが出そう。 採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆】
■『オクラ ~迷宮入り事件捜査~』 火曜21時~ フジ 出演者:反町隆史、杉野遥亮、白石麻衣ほか 寸評:『踊る大捜査線』『ナースのお仕事』などを輩出したフジ火曜21時枠の9年ぶり復活第1弾は、反町メインのダブル主演、新旧刑事のギャップバディ、お蔵入り寸前の未解決事件など、「ほぼテレ朝仕様」のプロデュースか。刑事モノ好きに向けた作品の域を出ておらず、最もドラマ放送数の多い火曜夜で埋もれてしまった。 採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆】
■『宙わたる教室』 火曜22時~ NHK 出演者:窪田正孝、小林虎之介、伊東蒼ほか 寸評:学習障害や起立性調節障害から、家庭の事情で通学できなかった高齢者や外国人、いじめなど、定時制に通う人々の背景がしっかり描かれ、生徒役のキャスティングもリアル。主人公の教師がつかず離れずの絶妙の距離感で彼らに寄り添っている。一方で「ここはあきらめたものを取り戻す場所」「僕はこの学校に科学部を作りたい。一緒にやりませんか」などの熱いセリフが静かな感動を誘う。実話ベースの作品だけに、宇宙につながる後半の物語にも期待できそう。 採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】