月24万円もらえるはずが…年金繰下げ中の67歳男性、年金事務所で発覚した〈まさかの事態〉に絶望…「これじゃ、働き損だろ」【FPの助言】
繰下げしても「在職老齢年金」の支給停止分は増額の対象にはならない
「在職老齢年金」は、公的年金を受け取りながら給与や役員報酬を受け取っている場合に適用される制度です。受給資格者の総報酬月額と基本月額の合計が50万円を超えると、超えた部分の2分の1が支給停止となる仕組みです。 この支給停止額の計算式は次のようになります。 (基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2 注意すべき点は、老齢厚生年金を繰り下げると、「在職老齢年金」の支給停止分が増額の対象にならないことです。 例えば、今回の二ノ宮さんのケースですと、本来65歳から受け取れる老齢厚生年金が13万円で、70歳まで繰下げ受給すると42%増額される予定でした。しかし、二ノ宮さんの総報酬月額は51万円のため、在職老齢年金が適用されます。この場合の支給停止額は次のとおりです。 支給停止額 =51万円(総報酬月額)+13万円(年金月額)-50万円(支給停止調整額)÷2 =7万円 よって、支給停止額は7万円です。 この結果、二ノ宮さんは13万円の年金月額から7万円を引いた6万円の老齢厚生年金に対してのみ、42%の増額が適用されます。つまり、二ノ宮さんの増額分は6万円から42%増額した2万5,200円のみとなります。 そのため、70歳から受け取れる老齢厚生年金は15万5,200円(13万円+2万5,200円)となり、予定よりも約3万円少ない受給額となってしまうのです。
悲劇の原因は、「在職老齢年金」と「繰下げ受給制度」への理解不足
二ノ宮さんはこの説明を受け、年金の増額を目指して繰下げたにもかかわらず、実際には受け取る額が大幅に減少してしまうことに、大きな失望と不安を感じました。彼は丁寧に対応してくれた担当者に感謝と、怒りをぶつけたことを詫びつつ、年金事務所を後にしました。 自宅に帰り、二ノ宮さんは妻に今日の出来事を話しました。妻は青ざめ、心配そうに、これからどうするのか尋ねます。二ノ宮さんは「もう一度FPに相談し、何か対策がないか聞いてみる」と伝えます。 そして、二ノ宮さんは再び、FPがいる事務所に向かうのでした。
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