元オウム幹部だからわかる!上祐史浩氏「解散命令を請求された旧統一教会でこれから起こる」戦慄の未来
――オウム真理教と旧統一教会の共通点、相違点は何でしょうか。 「まず相違点から申し上げます。統一教会は、その内側に反日的な思想を秘めているとはいえ、オウムのような反体制的な暴力革命の思想と、その手段としての武装化や殺人等の暴力行為はありません。そこが最大の相違点だと思います。有田芳生氏(71)によれば『警察権力が教団(旧統一教会)を危険視していた』そうで、『多数のエアガンを信者の関連会社のガンショップが購入した』という情報もありますが、いずれも未確認です。 宗教にありがちですが、共通点は自分達の教祖が救世主と思い、自尊感情が強いため、その反動として、他者・外部に否定的・批判的で、被害者意識や弾圧陰謀の世界観の傾向を持ち、闘争的なところだと思います。若い世代の信者はその傾向が薄いかもしれませんが。オウムの教祖である麻原彰晃も『闇の国家権力が日本支配する』という陰謀論的な世界観を主張して、(世の中に受け入れられないとわかると)キリスト教の終末思想にある悪の支配・弾圧との戦いを強調するようになりました。 少しきわどい話になりますが、文鮮明氏は、韓国の大日本帝国併合時代に生まれ、反日感情を形成したのだろうと思いますが、その過程で韓国に進出した日本企業・チッソの徴用工だったという情報があります。一方、作家の藤原新也氏(79)が麻原の長兄から聞き出したところでは、麻原は子供時代に熊本の八代で暮らし、チッソの水俣病の被害者として視覚障害を被ったのに被害者申請をしても認められなかったという話があります。長兄はもう亡くなり、真偽は確認できませんが、両者とも幼少期に生まれ育った社会に対するネガティブな感情、被害者意識を培った可能性を感じます」 ――韓鶴子について考えていることはありますか? 教祖として魅力や欠点は? 「文鮮明の正妻として選ばれたということが、彼女のカリスマ性になっているのだと思います。しかし、報道されたように、日本を依然として戦犯国家と見ていることは、韓国の左派・高齢層は共感しても、日本社会への対応としては明らかに時代遅れでしょう。『自分を救世主と認めないことを罪』と批判するのは、オウムの麻原とも似て、カルト教祖にはよくあることだと思います。外部の人から客観的に見れば、誇大自己症候群・被害妄想・社会適応不全と見えるような心理状態だと思います」 ――解散命令が出たことで、旧統一教会は「お布施」を集めたり韓国へ送金することをやめると思いますか。あるいは財産隠しに動くのか。 「教団は少なくとも向こう数年の間、宗教法人解散命令請求の裁判を闘いますから、不利になるような行動は避けようとすると思います。教団は記者会見で、被害賠償の保証のために供託金として100億円の現金を用意したとしました。ただ、以前から私は教団関係者から『賠償に関しては、教団には十分な資金力があって心配していない』と聞いていました。また先日、5万人を超える信者が、宗教法人解散命令に反対する国への嘆願書を出したと報じられました。まだ相当数の信者が信仰を続けているなら、毎年100億円の寄付を集めることは難しくない。 つまり、教団の不動産を売却したり、名義を変えるなどして財産隠しをする必要はないと思います。解散命令が確定すれば、資産の清算が行われて被害者賠償がなされますが、十分な現金資金があるなら、全部払ってしまえばいい。不動産などの残余の資産は、宗教法人法に基づいて教団関係者に戻されるはずですから。解散命令後の任意団体の教団が使い続けることができるでしょう。 にもかかわらず、裁判が不利になるリスクを冒してまで、それを無理に隠したりする可能性は低いと思います。ただし、目立たない迂回策をとる可能性はあると思います。韓国への送金に関しては、信者個人を韓国に渡航させて、日本政府には実態・規模がよくわからないようにする形をとるかもしれません。また、先に述べたように、解散命令の対象は日本の宗教法人だけ。教団は国内外の多数の団体の集合体ですから、今後の信者の寄付を日本の宗教法人ではなく、関連団体に誘導する可能性はあると思います。今現在でも、教団には宗教法人の名義ではない資産が多数あるといわれており、社会から見れば、解散命令の影響を受けない教団の隠し財産が『既にある』と言えるのではないでしょうか」 解散命令請求をして「終わり」ではない。これからようやく、始まるのだ。 取材・文:深月ユリア 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。「深月事務所」代表。数々の媒体で執筆し、女優、モデル、ベリーダンサー、FMラジオパーソナリティーとしても活動。動物愛護活動も精力的に行い、テレビ神奈川の番組「地球と共生する、アニマルウェルフェア」を自社でプロデュース
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