【漫画】隣の同僚の扇風機が自分の机に侵入 「嫌と言えない私」の平和的な解決が「お見事」【作者インタビュー】
ーー本作で伝えたかった主題として「言いたいことを言えない人間が存在する」ということが挙げられています。そのことについての作者の思いをお聞かせ下さい。 このマンガは株式会社ゲンロンの「ひらめき☆マンガ教室」の最終講評会に出品した作品なのですが、講評会で編集者の方からもらったのが「置かないでほしいって言えば済むことでは?」とのコメントでした。それで本作の意義が見出せなくなり、SNSでの公開はやめていました。 しかし、時を経て「言いたいことを言えない人間が確かに存在して、心の内はこうなっている」ということが伝わるだけでも意義があるのではないかと気付きました。私自身も、映画や小説の登場人物の心の内を見て「こんな恥ずかしいこと、人として駄目なことを感じていいんだ」って安心することがあります。マンガも「感情の居場所を作るもの」という感覚があります。 ーー作品に対する読者からの反応では、どのような声が特に印象に残りましたか? 「自分だったらすぐに言う」「言って伝えるべき」という反応がたくさんあり、やはり自分はかなり重度の「言えない人間」なんだなーと客観的に思いました。言いたいことを言えないことが、これまでの人生の悩みの根本原因なんじゃないかと深く考えさせられました……。 自分の感情をつかむのにすごく時間がかかるので、言葉に変換するのも時間がかかり、その結果タイミングを逃すという。こういう文章は推敲の余地がありますが、言葉は瞬発力ですもんね。音声配信とかやって練習しようかな……。でも、もう、うまく言えなくても言う勇気を持とうと改めて思いました。 マンガを描くことは、自分の感情を深掘りすることを許される作業なので、すごくありがたい活動ですね。自分の感情をつかむための贅沢で必要な時間なので、マンガはずっと描いていきたいと思っています。 ーーのり漫さんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。 自分の結婚式の席次表に4コママンガを描いたのがきっかけです。2016年ですね。 ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか? X(旧:Twitter)では継続的にマンガを投稿していきたいです。育児マンガ100日チャレンジというのをやって、毎日ではありませんがコンスタントに発表しているんです。そうしていたら応援して下さる方が現れ、ありがたく励まされています。 また私はインプットばかりになると、なんだかモヤモヤが募る性分で。それこそ普段言いたいことがうまく言えないっていうのがあるんでしょうね。小まめにアウトプットすることは自分の心の健康にも良いです。 SNSは難しさもありますが、「分かる」という声に「ああ、伝わった~!」という感覚になってうれしかったり、「マンガを読んで勇気をもらった」という言葉をもらって描いていて良かったと思ったり、自分自身の救いにもなるので続けていきます!
マグミクス編集部