なぜ女性同士はマウントを取り合うのか?臨床心理学者に聞いた女性の「三すくみ」とは?
身近な人との会話の中で、「私、今マウンティングされた?」とモヤモヤしたことがあるという人は多いのではないでしょうか? 臨床心理学者の森裕子さんにお話を伺いました。 【画像】女性同士のマウンティング
「マウンティング」とは?
主に女性同士の関係性の中で「自分の方が立場が上」であると思いたいために、言葉や態度で自分の優位性を誇示してしまう現象を指し、近年注目されている。(『マウンティングエピソードの収集とその分類:隠蔽された格付け争いと女性の傷つき』より)
「マウンティング」の4つの定義
――研究は、どのように進めていったのでしょうか? 森さん:ますは、「これはマウンティングではないか」と思われるエピソードを集め、そこからマウンティングの4つの定義を設定しました。 ① 日常的に関係性が構築されている、あるいはこれから関係が続くことが予想される女性同士で生じる ② 参与者Aが「自分の方が立場が上である・優れている」と参与者Bに暗示的に誇示する ③ 参与者Bが参与者Aの言動を受けて、自分の方が立場が下であると感じ、不快な気持ちになる ④ 参与者Aは加害意識がない、あるいは加害意識がなさそうにみえる 森さん:さらに、女性同士のコミュニケーションが描かれる映画やドラマ、リアリティーショーをいくつか選出し、マウンティングの定義に当てはまるシーンを抽出しました。 それらを比較し、共通点を探すことで、20の「マウンティングの概念」を生成しました。それらにはさらに共通点があり、最終的に3つのカテゴリーに分類することができました。
「マウンティング」の3大カテゴリー
<伝統的な女性としての地位・能力> 結婚している。子どもがいる。家族と安定した生活を送っている。貞淑である。等 例1:産後すぐに仕事復帰する女性に「子どもが3歳まではそばにいた方がいい」と言う(概念名:貞淑さ) 例2:独身の友人に「イケメンを紹介するよ~」と言う(概念名:既婚の安定) 例3:恋愛の悩みを相談すると「子どもを育ててると毎日が忙しくて、ちっちゃなことで悩んでるヒマはないかな~」と言われる(概念名:子どもの存在) <人間としての地位・能力> 学歴が高い。年収が高い。有能である。独力で生きられる。自由で楽しい生活。等 例1:自分が仕事で目標を達成したと言うと「私もこの前、同期で一番のりでプレゼン担当になったんだ」と言われる(概念名:仕事の有能さ) 例2:学歴がない女性に対し「男の金で生きてくの?つまんない人生」という(概念名:学歴) 例3:寿司屋で「お寿司、トロから頼んじゃうんだ」と言われる(概念名:趣味・教養) <女性としての性的魅力> モテる。男性に尽くしてもらえる。見た目が良い。若い。等 例1:「みんなメイク盛ってるね~!」とすっぴんの女性が言う(概念名:美しさ) 例2:男性に声をかけられることを話し「軽く見られてるのかなー」(概念名:モテ経験) 例3:「彼氏、イケメンじゃないところが逆にいいね」と言う(概念名:男のセンス)