インタビューに応じる鈴木康友知事＝3日午後、県庁

　鈴木康友知事は就任から1週間となる3日、県庁で静岡新聞社などのインタビューに応じた。リニア中央新幹線問題の解決に向けて4日に斉藤鉄夫国土交通相、5日にJR東海の丹羽俊介社長と相次いで面会し、早期に信頼関係の構築を目指す考えを強調した。地元に待望論がある静岡空港直下の東海道新幹線新駅設置については「今の過密ダイヤでは現実的でない。まずは環境との両立、水確保が重要だ」と述べ、将来的な検討課題との認識を示した。 　旧知という斉藤国交相との面会では「JRに対し、大所高所から指導をお願いする」とした。初対面の丹羽社長に対しては、大井川の水確保と環境保全が工事着手の前提との県方針を伝えた上で「今後、本県にどういうメリットを与えてくれるかも詰めていく」と述べた。岐阜県内で起きた井戸の水位低下などに関する説明や対応にも言及する考えを示した。 　「科学的根拠に基づいた検討の場」として県有識者会議専門部会は当面、継続すべきだとし、国、JR、流域市町と県の4者による協議体設置にも改めて前向きな姿勢を見せた。 　知事選では県東部・伊豆地域の首長に対立候補の支援表明が相次ぎ、得票も下回った。関係構築に向けて「特に伊豆半島できめ細かくニーズを拾い上げ、政策に反映させる」と強調した。「地域ごとに懇談するのも有効」と述べ、川勝県政でも実施していた「地域サミット」のような協議の場を継続していくと説明。静岡、浜松両市長と懇談する「県知事・政令市市長会議」の継続も明言した。 　発生から3年を迎える熱海市伊豆山土石流災害については「今後悲劇が起こらないよう体制を整えていく。熱海市と連携して復興を進める」とし、7月3日の追悼式に参加する意向を示した。 　今夏から富士山で始まる入山管理は本県側と山梨県側とで異なる制度の運用が始まる。鈴木知事は「ある程度の規制は必要。今夏は間に合わないが、同じ山なので歩調を合わせたい」などと述べ、来夏に向けて両県の連携を進めるとした。