スペースワンの小型ロケット、打ち上げ直後に爆発-関連銘柄下落
(ブルームバーグ): キヤノン電子やIHI子会社などが出資する国内スタートアップ、スペースワン(東京都港区)は13 日、小型ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを午前11時過ぎに実施したが、打ち上げ直後に爆発した。
NHKが中継したロケットが発射された直後の「スペースポート紀伊」の映像からは、煙が立ち上がり、周囲が炎に包まれる様子が映し出された。多数の破片や機体の一部も飛び散った。スペースワンの豊田正和社長は記者会見で、機体の破片は射場の敷地内に落下したとし、火災は既に鎮火が確認されており第三者への損害や同社関係者の被害は発生していないと述べた。
失敗が伝わると、同社に出資する企業の株価が急落した。キヤノン電子株は一時前日比13%安の2228円を付け、11年3月以来の日中下落率となった。IHI株は同2.6%安の3412円、清水建設株は同1.5%安の937.4円を付けた。
豊田社長によると、ロケットは「リフトオフ(打ち上げ)をして約5秒後、飛行中断の措置が取られた」。原因については現在調査中だとした上で、「われわれはこの結果を前向きに捉えて次の挑戦に臨みたいと思っている」と述べた。
通信や地球観測衛星の需要拡大に伴いロケット打ち上げは近年急増しており、昨年は世界で2664もの衛星などが打ち上げられた。米国、英国、中国などに先行されている日本は政府が1兆円規模の宇宙戦略基金を創設し、官民の打ち上げ能力を年間30件程度確保することを目指している。
日本政策投資銀行、三菱UFJ銀行なども出資しているスペースワンは9日にカイロスを打ち上げる予定だったが、海上警戒区域に船舶が残留していたため打ち上げを延期していた。
スペースワンによると、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型ロケット「イプシロン」が全長26メートルなのに対し、カイロスは18メートルとなっている。スペースワンは専用の発射場であるスペースポート紀伊を使い短期間、高頻度での打ち上げを行うとしており、年間20回の実施を目指している。
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Tsuyoshi Inajima