「退屈さ」を売りにし始めた米地銀、波乱の1年からイメージ向上狙う
(ブルームバーグ): 米地銀が波乱の1年を経て、「退屈な」存在であることをアピールし始めている。
PNCファイナンシャル・サービシズ・グループは18日、「素晴らしく退屈」な銀行だと顧客に訴える広告キャンペーンを開始したと発表した。退屈さを売りにしている銀行はPNCだけではない。フィフス・サード・バンコープの幹部も、最近の業界会議で「退屈は良いことだ」と述べている。アナリストからも最近の業界の混乱ぶりを考えれば、この落ち着いたトーンはむしろ心地よいとの声が上がる。
PNCのウィリアム・デムチャック最高経営責任者(CEO)は声明文で、「時に光り輝く物を追い求める熱狂的な業界にあって、われわれは顧客の本質的な金融ニーズに焦点を当て、数世代にわたり辛抱強く関係を築き、結果を出すことで事業を拡大してきた」と指摘。「この『退屈な』 アプローチによって、当行は将来の成長機会に対して極めて好位置につけている」と述べた。
シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻に端を発する2023年3月の地銀危機発生以降、同業界は預金流出リスクなどの圧力にさらされてきた。今年に入り、ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の株価が急落したことで、投資家の関心は再び地銀に向かっている。
スティーブンスのアナリスト、テリー・マッケボイ氏はインタビューで「銀行セクターはここ1年、経営破綻、株価の大幅な変動、不確実性と不安の高まりに見舞われており、こうした中で退屈さとは心安らぐメッセージだ」と指摘。「退屈であることは、長期的には並外れたリターンを生む傾向がある」と述べた。同氏はPNC株の投資評価を「イコールウエート」としている。
原題:Bank Brags About Being ‘Boring’ a Year Into Industry’s Turmoil(抜粋)
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Bre Bradham