小酒部泰暉、小針幸也、東野恒紀らプロも参加、神奈川大バスケ部OB有志がチャリティイベント『Happiness Ball』を開催
出色の存在感を見せた東野が能登半島地震で得た気づき
「若手にとってはすごく大事な時期なので」と、トレーニング三昧のオフを過ごしていると話した小針は、横浜の強豪ミニバスケットボールチームでプレーした小学生時代を振り返り、「自分が小学生の時はプロから教えてもらえることはなかったので、プロや引退したプロからバスケを教えてもらえる機会が増えることは、子どもたちにとってすごくいいことだ思います」と話した。 「最近はYouTubeやSNSでバスケットの情報や知識は得やすくなりましたけど、第一線で長くバスケットを続けてきた選手の言葉や、直接教えてもらう体験はすごい貴重で思い出に残るものだと思います。イベント前に秀平さんから『良い影響をしっかり与えてほしい』と言われたので、それを意識して、とりあえずポジティブな言葉をたくさんかけてます。特に僕が担当した低学年代はシンプルにリングにボールが入る感覚を味わうだけでも楽しいと思うので、その楽しさをしっかり教えようと思っていました」 ちなみに、参加した3人のプロ選手の中で最も子どもたちの心をつかんだのが、小針の同期で、現在はB3金沢でプレーする東野だ。高学年のメインコーチを担当した東野は、2022-23シーズンにベルテックス静岡でスクールコーチを兼任した経験をもとに、「フィジカルコンタクトに慣れる」というテーマで練習メニューを組み、スムーズにクリニックを進行していった。 東野は年明けに、金沢が拠点を構える石川・七尾市で能登半島地震を経験。がれきの撤去や、子どもたちのためのクリニックなどの支援活動に参加した経験を持っている。中断期間を経てチーム活動を再開した際は「本当にバスケットをしていいのだろうか」と葛藤したが、大変な日々を送っている地元の人々たちに逆に励まされたと話した。 「『君たちはバスケットで勇気を与えてほしい』と言われて、地元の愛と優しさ感じられたのはとても大きかったです。だからこそ僕は子どもたちにも、お客さんにも、ファンの方にも、誰に対しても温かく接したいし、これから自分がどういうキャリアを歩んだとしてもその気持ちだけは忘れずにいたいと思っています」 オフ期間を利用したBリーガーたちの社会貢献活動は、同郷、同い年など、様々な繋がりで少しずつ広がりを見せている。今回のイベントを主催した野崎さんは「大学」という共通項で、これを実現したかったと話す。 「以前から社会貢献活動については関心を持っていて、自分の周辺にいる人たちが幸せな人生を送る手助けができたらいいなと思っていました。加えて、神奈川大はOB同士の繋がりがすごく強いわけではないので、大学時代の仲間に久しぶりに会えるきっかけが作れて、それが社会にとって良いものになればいいなというのが、今回のイベントを実施した簡単な経緯です」 神奈川大は平塚市内にキャンパスがあり、バスケットボール部もキャンパス内の体育館で活動していた。しかし一昨年度をもって平塚キャンパスは閉鎖され、部の練習場も横浜・みなとみらいに移った。青春時代を過ごした平塚や神奈川にOBが集まり、お世話になった地域に恩返しをしながら昔話に花を咲かせる――。野崎さんは『Happiness Ball 』が今後そんな場所になっていけたらと願っている。
青木美帆