升毅・戸塚祥太「アンドリューとマイロとの戦いに注目してほしい」『SLEUTH/スルース』ゲネプロ取材会レポート
緊張と緩和のアンドリューとマイロのやりとり
和やかな取材会から一転、ゲネプロが始まるとステージ上には緊張感が満ちる。「ゲネプロ」ということもあるだろうが、物語自体の緊張感も間違いなくあるはずだ。 幕が上がると、そこには自宅で小説の執筆に集中するアンドリューの姿があった。納得がいく結末ができあがったのか、ご満悦で朗読をする。 そんな彼の表情を変えたのはチャイムの音。マイロの訪問だ。マイロに酒を勧め、共にグラスを口に運びながら、アンドリューは妻とマイロの不倫について切り込む。 巧みにマイロについての情報を聞き出し、時には少し彼をイラつかせ、時には鷹揚な態度を見せる。マイロも懸命に立ち向かおうとするが、次第にアンドリューのペースに巻き込まれていく。 アンドリューが提案した「宝石を盗む」という提案についても、マイロは最初は本気なのかとおののくが、気が付けば、盗みに入るために変装を始め、アンドリューが言ったとおりに宝石を盗むため、屋敷の窓から侵入する。 泥棒が入ったということに信ぴょう性を持たせるために、屋敷の中を荒すが……。 細かくマイロの動きに演出を入れるアンドリュー。屋敷の散らかし方ひとつをとっても、自分で見本を見せるほどだ。 升が「稽古に入って酒をやめた」というコメントが取材会でもあったが、それも納得できるほどのセリフ量と動きだ。 戸塚もその芝居を受けて、アンドリューの手のひらの上で懸命に踊る。 ステージにはふたりだけ、舞台はアンドリューの屋敷。シンプルな設定の中で、ふたりのセリフの応酬が観客の心を引きこんでいく。 アンドリューがマイロに宝石を盗ませた目的とは、そしてガラリと変わるその展開とは――。 迫力ある会話劇、その結末を劇場で見届けてみてほしい。 取材・文:ふくだりょうこ <東京公演> 舞台『SLEUTH/スルース』 公演期間:2024年7月18日(木)~7月28日(日) 会場:よみうり大手町ホール