香取慎吾、『【推しの子】』は人生そのもの アイドルとして“嘘”と“愛”を守り抜く強さ
香取慎吾、東京ドームへの想いも『【推しの子】』と共鳴
また、個人的には香取が東京ドームについて反応している部分にも思わず胸が熱くなった。日本武道館の名前が作中に出てきた時には「2024年1月1日から僕は武道館に立ちますよ」と、来春に行われるファンミーティングについてちゃっかりアピールする香取だったが、東京ドームについては「他の箱(会場)とは意味合いが違うの」「選ばれたひと握りのアーティストだけが上がれる舞台」という作中のセリフを、姿勢を変えつつ、じっくりと読み上げる。 香取にとって東京ドームは、憧れのマイケル・ジャクソンを初めて観た思い出の場所。そして自身がその舞台に立つことができた時、ステージ上で手をついて「マイケル、やっとここまで来たよ」と報告したのだと、ソロコンサート『Black Rabbit』のMCで明かしていた。そして、SMAPが解散する時に「一回ステージから降りるね」と報告したとも。その香取のもとに、再び「マイケル、やっとここまで来たよ」と東京ドームのステージに手をつく日が来てほしいと願うばかり。そんな“アイドル香取慎吾”の紡ぐもうひとつの物語は、まだ現在進行形で続いている。 香取のレギュラー番組『ななにー 地下ABEMA』(ABEMA)で『【推しの子】』の作者・赤坂アカ&横槍メンゴと共演した際、作品を描くうえで多くの芸能関係者に取材をしたという話で盛り上がっていたのを思い出す。香取は自分も力になれないかと、取材に協力したいと申し出ていたが、動画の終盤にも「ぜひ先生方、少しでもお力になれたら、今後僕に何かリサーチとしてインタビューしてください。芸能界のこと、お話します」と再度アピールしていた。 ノンフィクションのアイドル人生を、ドラマチックに生きる香取だからこそ語れることがあるに違いない。香取自身が見せてくれるリアルな物語と並行して、いつか香取が“嘘”と“愛”を踏まえて語ってくれたエピソードをもとに新しい別の作品が生み出される日が来るのも楽しみにしている。
佐藤結衣