「イーちゃんの白い杖 特別編」劇場公開、全盲の姉と重い障害持つ弟を追う
2023年日本民間放送連盟賞でテレビ・グランプリを受賞したドキュメンタリー「イーちゃんの白い杖 特別編」が5月10日より劇場公開されることがわかった。 静岡を舞台とする本作は、生まれつき目が見えない“イーちゃん”こと小長谷唯織(こながやいおり)と重い障害を持つ2歳下の弟・息吹の物語。25年前、盲学校に通うイーちゃんは「どうして自分だけ違うのか」と疑問を抱き始める。そして友達と離ればなれになり、いじめを経験した彼女は大好きなピアノに触れても心が晴れず、“自殺”という2文字が頭をよぎる。しかし、隣にはいつも病と向き合い前進し続ける息吹の姿があった。2018年に静岡で公開され、翌年には東京でも公開された「イーちゃんの白い杖」に新たな映像が追加された「特別編」である本作は、2024年1月から2月にかけてフジテレビ系列でテレビ放送もされている。語りは春風亭昇太が担当した。 解禁となったビジュアルには、満開に咲き誇る桜並木をイーちゃんと家族が歩く姿がデザインされた。監督の橋本真理子は自身の父も中途障害者であることから「障がい者が堂々と生きられる社会にしたい」という思いで特別支援学校の免許を取得しマスコミに入ったことを告白。本作について「どこか笑えて、ちょっぴり泣けて、『あすから頑張ろう』と思える映画です。記者人生をかけた25年がここに詰まっています」とコメントしている。 「イーちゃんの白い杖 特別編」は東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次ロードショー。 ■ 橋本真理子 コメント 私の父も中途障がい者です。私が小学4年生の時、ステージ4の口腔がんを患った父は手術の末、歯を失い、舌を切除し、言語障がいとなりました。話すことも、食べることも困難になった父は家にこもるようになり「死にたい」と連呼するように。障がい者になったら人生終わるのか、隠れるようにして生きなければならないのか。そうであるなら変えたい、生まれながらに障がいがあっても、人生半ばで障がい者になっても堂々と生きられる社会にしたい、と私は養護学校(現在の特別支援学校)の教員免許を取得したうえでマスコミに入りました。入退院を繰り返し、手術を乗り越える息吹君と父が重なったのも事実です。 仕事と看病に疲れ果てた時、イーちゃん家族の強さはお手本でした。どれだけ励まされたか。もらった元気・勇気を多くの方に届けたい──。そう願い取材を続けてきました。「イーちゃんの白い杖 特別編」はどこか笑えて、ちょっぴり泣けて、「あすから頑張ろう」と思える映画です。記者人生をかけた25年がここに詰まっています。 (c)テレビ静岡