「現実との境界線がないと感じました」山崎怜奈さんが語る『レーエンデ国物語』と「言葉」
---------- 全5巻に及ぶ長編大作ファンタジー小説『レーエンデ国物語』。「革命」をテーマに、架空の国家・レーエンデ国での群像劇を描く。家系に縛られ続けた無垢な少女のユリア、寡黙な射手のトリスタンを中心に描く1巻『レーエンデ国物語』。屋敷が襲撃に遭いレーエンデ東部に行き着いた名家の少年のルチアーノ、彼が出会った怪力無双の少女であるテッサを中心に描く2巻『レーエンデ国物語 月と太陽』。「レーエンデの英雄」を題材に戯曲を描く天才劇作家のリーアン、彼の双子の弟で俳優のアーロウを中心に描く3巻『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』が刊行され、2024年4月17日にシリーズ最新刊の4巻『レーエンデ国物語 夜明け前』を発売する。Xをはじめ、SNSでも数多くの感想がつぶやかれる話題作だ。 本書に「物語に浸るとはこういうことか。人間のリアルを突きつけてくる、至高のファンタジー」と推薦コメントを寄せたのは、ラジオ番組『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』(TOKYO FM)のパーソナリティ、Web番組『ABEMA Prime』(ABEMA)のコメンテーターなどで活躍する、山崎怜奈さん。 小説『レーエンデ国物語』の作者である多崎礼さんとの対談では、「装丁」をきっかけに惹かれたというシリーズへの愛を熱弁。やがて、2人の話は「言葉」との向き合い方に及んだ。 この記事はダ・ヴィンチWebからの転載です。 ---------- 【写真】山崎怜奈さんが語る『レーエンデ国物語』と「言葉」
心に響いた一文「振り返るな。立ち止まるな」
――山崎さんが『レーエンデ国物語』と出会ったきっかけは何でしたか? 山崎怜奈さん(以下、山崎):書店で、装丁が美しい本だなと思ったのが出会いでした。でも、ラジオ用に読むべき本もたくさんあり、当時は“あとで読みたい本リスト”にメモするのみだったんです。読むタイミングをうかがっていたら“推薦コメントを”とオファーをいただいて、ご縁を感じました。 多崎礼さん(以下、多崎):きれいな装丁に仕上げていただいた力ですね。過去に書店でのアルバイト経験があり、私も“面陳”といって装丁を見せて、平積み作業をしていたので、目立つ場所に並べていただけるありがたさが分かるんです。ありがたいことに、書店内では一等地の売り場に置いていただくのも多く、山崎さんのように、目に留めてくださる方がいらっしゃるのは感謝しきれません。 山崎:書店でアルバイトされていたのは、羨ましいです。本を並べるのに憧れがあって。 多崎:書店員は好きな本だけを売れるわけではないので、辛さもありますよ。好きな本ではなく人気の本を並べないといけませんし、書店の一角に趣味の本をポップ付きでこっそり並べて、怒られたときもあります(笑)。 山崎:『レーエンデ国物語』の装丁はマットで、タイトルが“箔押し加工”ですよね。箔押しは“出版社が気合を入れている証拠”と教わったので、「なるほど。気合が入ってるんだ!」と(笑)。 多崎:着眼点がスゴい(笑)。 ――(笑)。実際、読んでの感想はいかがでしたか? 山崎:結果、推薦コメントのために読んで、正直「とんでもない仕事引き受けちゃった」と、圧倒されました。コメントは40文字ほどに制限されていたので、ふさわしい言葉が浮かばず、締め切りギリギリかちょっと超えるまで粘ったんです。5~6個考えて「好きなように組み合わせてご使用ください…」と、提案しました。 ――採用されたのは「物語に浸るとはこういうことか。人間のリアルを突きつけてくる、至高のファンタジー」でした。 山崎:言いたいことがたくさんあり、まとめるのは難しかったです。「読みはじめたらもう抜けられない」とか、「一緒に乗り越えないといけない」とか。「感情がとっちらかって言葉にならない」と、思いつくまま書きました。採用していただいた「人間のリアル」は、要約された文字数でパッと目に留まるワードを入れようと思っての強めなフレーズでした。 多崎:しっかり読み込んでいただいて、ありがとうございます。