最新映画で室井は「無職」に! 真下は?青島は?『踊る大捜査線』キャラ“肩書き”の変遷
■もう一人のキャリア組!ネゴシエーターとしても活躍した「真下正義」
室井とともにキャリア街道を進んでいたのがユースケ・サンタマリアさん演じる真下正義だ。本人は「ノンキャリ差別しませんから」と発言しており、誰に対しても腰が低く、ちょっと抜けたところがある人物だった。だが、彼は室井以上に生粋のエリートである。 警視長・警視庁第一方面本部長を父に持つ真下は、東京大学法学部を卒業後、国家公務員I種試験(現:国家公務員総合職試験)を経て警察庁入庁。警部補・刑事課強行犯係として湾岸警察署に研修にくる形で初登場した。 テレビドラマ版での真下は全く戦力にならない新人だった。水野美紀さん演じる柏木雪乃にベタ惚れしていて、彼女のサポートをするイメージが強かった。だが、エリートゆえ出世への意識は高く、昇任試験を受け警部に昇任している(※実際のキャリアは試験がない)。 強行犯係長から課長代理になるも、スペシャルドラマで犯人を逃がすミスにより映画『THE MOVIE』でまた係長に降格。しかし、映画終了後に警視となったことで、役職も警察庁刑事企画課課長補佐になった。 その後、ロサンゼルス市警に研修に行った真下は、映画『THE MOVIE 2』でネゴシエイターとして凱旋。2005年の映画『交渉人 真下正義』では警視庁刑事部交渉課準備室課長に就き、難事件を解決して活躍する。 恋愛面ではこのときに雪乃に「子どもを作ろう」とプロポーズし、その後結婚。映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』では2人の子どもが生まれたことが明かされた。 また、交渉課に属していたが(※作品オリジナルの部署)、自身の活躍と交渉術を勝手にドラマ化してDVDをばら撒いたため課を外されている。 映画『THE MOVIE 3』では湾岸署に戻り、神田総一朗の後を継いで湾岸警察署署長に就任。最終的な階級は警視正で、湾岸署とともに成長してきたことがわかる。
■大出世した人物も…湾岸署メンバーの肩書き変遷
室井らキャリア組は少人数しか採用されない国家公務員であり、湾岸署の面々をはじめ日本の警察官は大多数がノンキャリアと呼ばれる地方公務員だ。こちらは大卒・高卒と学歴も幅広く、階級を上げるには現場経験と試験が必要になる。 主人公の青島俊作は青山学院大学経済学部を卒業して一般職に就くが、刑事に憧れていたため転職して警察官になったというキャラクターだ。 練馬警察署地域課で交番勤務を経験した後、巡査部長に昇任して湾岸警察署刑事課強行犯係に配属された。その後、異動を挟み映画『THE MOVIE 3』でついに警部補に昇任。強行犯係長になり責任が増していく。 男勝りで正義感あふれる深津絵里さん演じる女性刑事の恩田すみれは、東京都立城東高等学校を卒業後に巡査拝命していて、青島よりもキャリアが長い。同じ刑事課にいるが所属は盗犯係で、階級は巡査部長だ。前述の通り青島が警部補に昇任しているので、キャリアを追い抜かれた形になる。 作品に深みをもたらしていた、いかりや長介さん演じる和久平八郎もすみれ同様に高卒採用組だ。初登場時の時点では定年3か月前の巡査長。周囲の信頼も厚く、定年退職後に現役メンバーに呼び戻され、退職者再雇用制度で指導員として刑事課に復帰した。 最後は湾岸署のお笑いトリオ・スリーアミーゴス。上層部に媚びを売りつつも、ここぞという時に身を挺して部下を守る憎めない上司たちだった。 北村総一朗さん演じる署長の神田総一朗は、法政大学文学部卒業のノンキャリながら実は叩き上げで警視正まで上り詰めた実力派。さらに副署長・秋山晴海(斉藤暁さん)と刑事課課長・袴田健吾(小野武彦さん)も同様で、秋山は警視、袴田は神田の引退後に副所長になり、それにともない階級も警部から警視に昇任している。 作中ではほぼ仕事をしていないのでピンと来ないが、ノンキャリで警視・警視正になるのは大変なことなので大出世といえるだろう。 改めて見てみると、登場人物の多くがキャリアを積み重ねながら昇任を遂げている。特に室井は、青島との「上に行く」という約束を、紆余曲折ありながらも完璧な形で果たした。それがどうして「無職」となったのか……映画の公開が待たれるばかりだ。
さえきしの