【杉野遥亮】演技に苦戦したシーンは? ドラマ『磯部磯兵衛物語』で”脱力系”時代劇に挑戦
「面白いことをやりたい」という意識を捨てて挑んだ撮影
――先ほどお話しにでてきたゴロゴロするシーンをはじめ、本作は杉野さんのイメージを覆す、振り切った演技が新鮮でした。 自分自身では別に振り切った演技をしたという感覚はありませんでした。細川監督の、絵を切り取るセンスに信頼がありましたし、自分は自分がやるべきことをやっただけという感じです。でもそういえば、監督が途中で「杉野くん、そこまで振り切って大丈夫?」と気にかけてくれたこともありました(笑)。
――ほかに監督とは、どういう言葉を交わしましたか。アドバイスをもらうこともあったのでしょうか。 オープニング映像の動きは、監督からこういう動きをして欲しい、という要望がありました。見ていただいたら分かると思いますが、あの絶妙に気持ち悪いグネグネした動きは、監督が編み出したんです。あれをグリーンバックで、一人でずっとやらされたのは、ちょっと苦痛の時間だったかもしれないです(笑)。あと、肩の骨を鳴らすポキポキの回というのがあるんですが、撮影の際に、監督が動きの見本を見せてくれたんです。それがすごく面白かったです。ちなみに、このシーンは僕のお気に入りでもあります(笑)。
――演技に苦戦したシーンはありますか。 先ほど話した骨を鳴らすシーンもそうですし、はちまきをして階段を這い上がるシーンや、水の上を歩くアメンボのシーンは体力的に大変でした。あと、磯兵衛の母親役である檀れいさんとのシーンは、僕にとってはツボでした(笑)。笑いをこらえないといけないことが、精神的にしんどかったです。 もうひとつ難しかったことは、「面白いことをやりたい」という想いを捨てることです。やっぱり、こういったコメディ作品は、「笑わせよう」という意識を持ってしまうと、途端に面白くなくなってしまうと思うんです。ユニークな磯兵衞というキャラクターを、普通に演じるというのは大変でした。
俳優 杉野遥亮 すぎの・ようすけ●1995年9月18日生まれ、千葉県出身。2015年に、雑誌『FINEBOYS』の専属モデルオーディションでグランプリを受賞し、芸能界入り。2017年の『キセキ-あの人のソビト-』で俳優デビューを果たすと、映画『東京リベンジャーズ』シリーズやドラマ『恋です! ~ヤンキー君と白杖ガール~』、大河ドラマ『どうする家康』、さらには主演を務めた『ばらかもん』など、話題作に多数出演。近作に、映画『風の奏の君へ』がある。現在ドラマ『マウンテンドクター』(毎週月曜22時/関西テレビ・フジテレビ系)が放送中。