【山口県】東ソー㈱ 新開発の培養プレートが一役 京大iPS研究所の成果発表で
ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥博士が所属する京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の研究グループが、東ソー㈱の培養プレート「2.5次元培養器材」を使ってiPS細胞から肺と気道の細胞を作製し、新型コロナウイルスが肺や気道に感染するモデルを作りあげた。今後、ウイルス変異株などの病原性を素早く予測できることが期待される。 iPS細胞は、特定の遺伝子を導入して人工的に作られた細胞。体の様々な組織に変化できる能力を持ち、病気の原因や治療法の研究、再生医療への応用が期待されている。 2.5次元培養器材は2022年に同社が開発した細胞の培養プレートで、細胞塊を大量、簡便に形成できる。CiRAの後藤慎平教授と高山和雄講師らの研究グループは、実験で2.5次元培養器材を用いてヒトiPS細胞から肺胞上皮細胞と気道上皮細胞を「分化誘導」。分化誘導は、細胞の培養条件をコントロールして目的の細胞に変化させることで、同社の製品が実験に大きく貢献した。 研究グループは、肺胞上皮細胞と気道上皮細胞でそれぞれ、5種類の新型コロナウイルスの感染実験を行い、変異株の感染効率、感染した細胞の反応の違いなど、病原性の特徴を詳細に調べることに成功した。今後、新しい変異株についても病原性を迅速に予測できることが考えられる。 この研究成果は3月29日、アメリカの生物科学学術誌「Stem Cell Reports」で公開された。