ファミリー層を拾って『パウ・パトロール』健闘 スロースタートな2024年の幕開け
2024年に入って初の動員ランキング(集計は12月29日~31日)は、『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』が週末3日間で動員58万5000人、興収8億円をあげて2週連続1位を獲得。公開から10日間の動員は208万人、興収は28億円。それに続くのが2週連続2位のディズニーの『ウィッシュ』で、週末3日間の動員が25万2000人、興収が3億4600万円。公開から17日間の動員は140万人、興収は19億円という成績。前者は興収50億円、後者は興収40億円が目標値といったところか。 【写真】2週連続1位を獲得した『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』場面カット(多数あり) 前回の当コラムで「おそらく先週末のトップ5に並んだ作品は、今後順位の変動こそあれ、そのまま2023年から2024年にかけての正月興行のトップ5作品となる可能性が高いだろう」としたが、1位から4位までは順位までそのまま。唯一外したのは、5位に再浮上してきた『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』。冬休み興行の幼児連れのファミリー需要の引きの強さを少々見誤ったことになるが、これは逆に言えば、『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』や『ウィッシュ』がその層を取りこぼしているとも言えるだろう。2021年8月に公開された前作『パウ・パトロール ザ・ムービー』の最終興収は3億円未満。現時点で、そのダブルスコア以上の成績を確実なものとしている。 いずれにせよ、『THE FIRST SLAM DUNK』(最終興収157.3億円)と『すずめの戸締まり』(最終興収147.9億円)が牽引した昨年の正月興行と比べると、各作品のパワー不足は明らか。今後公開される新作も、外国映画では来週公開の『アクアマン 失われた王国』、日本映画では再来週公開の『ゴールデンカムイ』まで興行的には目ぼしい作品がなく、例年になくスロースタートな1年の幕開けとなりそうだ。
宇野維正