「知り合いだけで10人ほどが指を落としている」 山崎製パンの“ブラックすぎる”労働環境とは…「死亡事故も頻発」
事故の経緯は
亡くなった加藤さんは、千葉市内の県営住宅で一人暮らしをしていた。 近隣住民によると、 「10年ほど前にはもうここに住んでいたと思います。確かお子さんが2人くらいいたはず。月に1回、住人のみんなで掃除をする時に顔を合わせていましたが、気さくな人でした。事故のあと、家族らしき人と整理業者らしき人が部屋に出入りしていました」 捜査関係者が明かす。 「事故が発生したベルトコンベアーは複数の菓子を載せた鉄板が運ばれていくものでした。何らかの理由でその菓子がこぼれ落ち、すぐに駆け付けたのが、別の機械で作業中だった加藤さんでした。加藤さんはベルトコンベアーを止めずに、コンベアー内の菓子を取ろうとしたようです」 そして不幸にも、 「ベルトコンベアーのバーに右腕を挟まれた上で奥に引き込まれ、支柱の部分に胸が挟まって圧迫される格好になってしまったのです。ベルトコンベアーの幅は20~30センチくらい。安全カバーなどは付いていませんでした」 ちなみに通常、ベルトコンベアーには安全カバーが付いているという。また、ベルトコンベアーの主電源を切った上で回収していれば起こらなかった事故だったのかもしれない。
「知り合いの社員だけで10人ほどが指を落としている」
山崎製パン元社員によれば、 「例えば、和菓子の串団子の串が折れて詰まってしまってベルトコンベアーがストップした、というようなトラブルの場合、本来は主電源を落とした上で折れた串を取り除く作業をしなければなりません。しかし、主電源まで落としてしまうと、商品の一部がダメになってしまう可能性がある。そのため、主電源を落とさないまま修理に当たることがあるのです」 そうした手法で修理に臨んでいた場合、 「詰まっていた串団子の串が取り除かれ、不具合が解消すれば、ベルトコンベアーは動き始めてしまいます。その時に体が巻き込まれたりしてケガをしてしまうことがあるのです」(同) 特に多いのが指を切断してしまう事故だという。 「指が根元から一本丸々なくなってしまうこともあるし、第一関節から先がなくなる場合もある。あるいは、いったん指を落としてしまったものの、すぐに病院に行ってくっつけてもらうケースもあります。私の知り合いの社員だけでも、10人ほどが指を落としています。そのうちの一人は10年ほど前、古河工場(茨城)での事故でした」(同) どうやら、安全面では「超ホワイト企業」とはいえなそうである。 「それでも、今回の死亡事故のニュースには社員も元社員も皆が驚いていると思います。工場で指を落とす事故は起こるものの、死んでしまうような大事故は起こらないと思っていましたから……。やはり山パンの工場で死亡者が出たというのは前代未聞です」(同)