リバプール遠藤航は「立ち位置は危うくならない」 英記者が断言…なぜ新体制でも重要なのか【現地発コラム】
プレミアの名門クラブ就任初年度という事実
英メディア「The Athletic」のリバプール番、ジェームズ・ピアース記者の言葉を借りれば、「地味な汗かき屋の仕事を進んで全うするエンドー」だ。4月21日、アウェーでのフルハム戦(3-1)でのこと。同点で迎えた後半、遠藤が遠藤らしいパフォーマンスを見せ、リバプールがリバプールらしいチームパフォーマンスで勝利を収めた試合後の一言だった。 この一戦では、英紙「リバプール・エコー」でも、「誰よりも先にタックルを仕掛ける」と同時に、ボールを素早く前につけて「チームを相手ゴールへと突き動かそうとしていた」と、遠藤のプレーが評価されていた。その翌週、再びロンドン市内でのウェストハム戦(2-2)後にも、敵の守備が緩慢だった前半に勝負をつけ損ねたチームにあって「トライしていたね」と、ピアース記者は遠藤に見られた同様の姿勢を認めていた。 チームの機能面で軽視できない遠藤を抱えることになるスロットは、過去8年間の監督キャリアでは経験のない大きさのプレッシャーを背負う立場でもある。エールディビジのフェイエノールトと、プレミアのリバプールは違う。リバプールは、クロップ体制下の8年半で優勝争いの常連として復活し、摩耗した“リバプール1.0”が5位に終わった2022-23シーズンから1年で、チャンピオンズリーグ(CL)復帰を果たしてもいる。ビッグクラブとして結果が要求される就任1年目に、「安定性の源」を取り換えようとするだろうか? ホームでのクロップ体制最終戦、放出説を唱える外野によれば「遠藤のリバプール最終戦」ともなりかねないウォルバーハンプトン戦(2-0)を前に、ベテランのリバプール番記者にも意見を尋ねてみた。かれこれ20年以上の付き合いになる、英紙「ガーディアン」のアンディ・ハンター記者だ。 「日本向けだからって、オブラートに包む必要はないから」と伝えたうえで返ってきた答えは、「エンドーの立ち位置が危うくなるとは思わない」というもの。「スロットのリバプールにも向いているだろうから」との理由だった。 遠藤の移籍1年目は「期待以上だった」と、アンディは言う。先発レギュラーの座、言い換えれば「マック・アリスターにチャンスメーカーとして力を発揮させるためにこなすべきポジション」を自分のものとした昨年12月の時点で、「リバプールの戦力としての価値」を証明したのだという。26日間で計7試合に先発し、本人が「人生で一番キツいクリスマスだった」と言って苦笑していた、過密スケジュール真っ只中でのハードワークだった。