県境越え4会場で落語会【長野県・静岡県】
落語家の橘家圓十郎さん(長野県飯田市山本出身)と三遊亭楽八さん(静岡県磐田市出身)が3月28日から31日にかけ、互いの郷里で開かれた4つの落語会に出演した。飯田では30日に「峯高寺寄席」、31日に「かぐらの湯2025秋復活!頑張ろう遠山郷寄席」があり、両会場とも大にぎわい。古典落語4席に沸いた。 飯田 文化的つながりを実感 松尾町の峯高寺で開いた峯高寺寄席には小学生を含む64人が来場し、楽八さんは低音のよく通る声で「つる」と「まんじゅうこわい」、圓十郎さんは爆笑編の「初天神」と「替り目」を口演。「子どもも楽しめる演目を」という寺の要望に応え、「替り目」では愛妻家の一面をのぞかせた。 圓十郎さんは磐田市と浜松市で開いた2公演を振り返ると「言葉が飯田に似ているので親しみが持てた。地元の人が『~だもんで』とか『~だに』と言うのを聞いて、ふるさとに帰ってきたように感じた」と話すなど、遠州と南信州の文化的な結び付きを実感した様子。 後輩の楽八さんとの遠州・南信州コンビによる両地域での落語会は続けたいらしく「せめて10回は続けるようお寺さんにお願いして」と来場者に呼び掛けていた。 楽八さんは来場者の反応の良さに加え、和装で落語を聞きに来る小粋な客層が一定数いる飯田の文化に驚き「落語に対する意気込みを感じる」と話した。 遠山郷 来年秋に向け「ガンバロー」 任意団体「遠山郷やらまい会」(片町元彦会長)主催の「頑張ろう遠山郷寄席」は南信濃和田の南信濃地域交流センターのホールで開き、上村・南信濃地区内外から62人が来場。落語から元気をもらった来場者は、かぐらの湯がリニューアルオープンする2025年秋に向けて「ガンバロー」を三唱しながらこぶしを突き上げた。 楽八さんは歌うような口調で「反対俥」と「時そば」、圓十郎さんは好物の唐揚げとダイエットのせめぎ合いについてたっぷり語ってから「まんじゅうこわい」、トリの一席では「湯屋番」をユーモラスに演じた。 そばをすするしぐさとまんじゅうをほおばる場面には歓声が起き、「おいしそう」というためいき混じりの声も漏れた。 圓十郎さんは「かぐらの湯には何度か呼んでもらったが、一度も温泉に入れたことがない。次回はぜひ入りたい」と熱望した。 遠山郷観光協会の大蔵喜福会長(73)は「次回はより多くの人と盛り上がりたい」、南信濃まちづくり委員会の遠山典男さん(66)は「これを機に遠山郷の未来が明るくなるよう頑張りたい」と話し、万歳三唱の音頭をとった。