『RoOT / ルート』は『オッドタクシー』と違う“オチ”に? 河合優実×坂東龍汰の奮闘に期待
あの“セイウチのタクシードライバー”が、人間の姿になって我々のもとに帰ってくる。そんなビックニュースを運んできたのが、4月よりテレビ東京系にて放送開始するドラマ『RoOT / ルート』だ。本作は、現在『ビッグコミックスペリオールダルパナ』にて連載中の漫画『RoOT / ルート オブ オッドタクシー』を原作としており、若手探偵コンビの奮闘を描いたストーリーに、ドラマオリジナルの要素を加えて展開される。 【写真】実写版・タクシーの運転手の小戸川 漫画『RoOT / ルート オブ オッドタクシー』は、2021年に放送されたTVアニメ『オッドタクシー』の世界を、別の視点から描いた作品だ。『オッドタクシー』の魅力といえば、やはり主人公であるセイウチの小戸川が、タクシードライバーとして出会うさまざまな動物たち……だったはずだが、なんと漫画ではその要素は封印されている。漫画版では小戸川自身も目つきの悪いセイウチではなく、初めから中年の男性として描かれていた。つまり、アニメでは動物として描かれていた登場人物が、漫画版では全て普通の人間として登場するのである。 ※以下、TVアニメ『オッドタクシー』のネタバレに触れています 繰り返しにはなるが、ドラマの原作はあくまで漫画『RoOT / ルート オブ オッドタクシー』。つまり、アニメとドラマでは物語の“オチ”に当たる展開も全く異なることが予想されるだろう。アニメ版では、小戸川が脳の障害により周りの人間が動物に見えていたことが、最終話で視聴者にインパクトを与える形で明らかになる。しかし、漫画版では第1巻で、“小戸川には周りの人間が動物に見えている”ことがそれとなく浮き彫りになるという構成になっているからだ。小戸川は登場するものの、『オッドタクシー』の物語ではない……そんな同じ世界線での別の物語を追うことができるのは、シンプルに楽しみなポイントである。 また、今回のドラマ版では、アニメ勢にとって“新キャラ”も大きな見どころになるに違いない。河合優実と坂東龍汰がダブル主演を務める新たな主人公・玲奈と佐藤が、『RoOT / ルート』の世界を切り拓いていく。 河合演じる玲奈は、街の小さな探偵事務所で働くクールな19歳の女性探偵。彼女がバディを組むのが、坂東龍汰演じる“珍しいもの”を引き寄せるポジティブな新人・佐藤である。彼らは、小戸川の素行調査を皮切りに、次第に大きな事件へと巻き込まれていく。漫画では練馬の女子高生行方不明事件やドブの存在、スマホゲームの“ドードー鳥”まで、アニメの小ネタがふんだんに盛り込まれたあの世界(登場人物は人間なのだが)が描かれるが、どこまでその要素が引き継がれるのかも気になるところ。早く新しい主人公の奮闘する姿を観たいものだ。 もちろん、アニメでもお馴染みのキャラクターも多数ドラマに登場する。たとえば、アニメでも重要な役割を果たした、メジャーデビューを控えた3人組アイドルグループ・ミステリーキッスのメンバーも実写化。 負けず嫌いで気が強いセンターの二階堂ルイ役を乃木坂46の中村麗乃が、おとなしそうに見えて野心を秘めた市村しほ役を伊藤友希が、そして無邪気で天真爛漫な三矢ユキ役を小林桃子が演じる。先にアニメを観た人ならば、ドラマのキャスティングと動物のイメージを重ね合わせて楽しむこともできるだろう。彼女たちの演技やビジュアルの中に、アニメで描かれていた動物らしさが感じられるのかどうかは、注目すべきポイントの一つだ。 アニメ版のミステリーキッスは、アニメの劇伴も手掛けるVaVaが作詞・作曲した挿入歌「超常恋現象」と「波間にKISS」を収録したシングル『超常恋現象』をリリースしているが、ドラマ版のミステリーキッスのライブシーンも観られるのだろうか。 一応は“原作もの”とはいえ、脚本からキャストの演技まで、TVアニメ『オッドタクシー』さながらに予測不可能な要素が多いドラマ『RoOT / ルート』。アニメでは動物として描かれていたキャラクターたちが、ドラマでは人間として登場することで、新たな解釈や魅力が生まれる可能性もある。動物としての特徴を活かしつつ、人間ならではの感情や関係性が加わることで、より深みのあるキャラクター像が描かれるかもしれない。アニメ版とリンクするポイントを感じながら、玲奈と佐藤とともに手探りで作品世界を楽しめるのも、本作ならではの面白さになるだろう。
すなくじら