【名古屋場所新番付8】朝乃山は東前頭12枚目から出直し、好相性の名古屋で復活ロード刻む
大関復帰の道は振り出しに戻された-。日本相撲協会は1日、大相撲名古屋場所(14日初日、ドルフィンズアリーナ)の新番付を発表した。大関経験者で復帰が期待された朝乃山(30=高砂)は、幕内力士では最多となる12枚の番付降下で三役から陥落。東前頭12枚目からの出直しとなった。昨年の目標に掲げていた「年内三役復帰」が半年ほど遅れたばかりか、先場所の全休で大関昇進の足掛かりをも逃してしまった。 3月で30歳を迎え、ケガがちになることが懸念されていたが、それが夏場所前に露呈してしまった。4月25日の千葉・木更津巡業中の稽古で、右膝を負傷。右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷で、全治3週間と診断された。「膝のケガは初めてなので、だいぶ嫌な感じ」と話していたが、ここは無理せず全休を選択した。 出場停止を除けば全休は初めてのことだったが、この1年6場所をみても皆勤は2場所だけと、自分の体との闘いを強いられている。昨年を振り返ればそれが分かる。西前頭2枚目の好位置につけていた昨年9月の秋場所は、前半の4連敗が響き9勝6敗。勝ち越せば三役復帰という東前頭筆頭に番付を上げた翌九州場所は、直前の秋巡業でケガをし初日から休場。8日目から出場し4勝4敗と健闘したが、7つの休みが響き番付が降下。出直しの今年1月の初場所は初日から7連勝で復活優勝の夢も抱かせたが、ここでも負傷し4日間の休場。再出場後は2勝1敗で何とか9勝3敗3休という数字を残し、先々場所は西前頭筆頭につけた。その先場所は9日目まで4勝5敗だったが、10日目から5連勝。14日目には、110年ぶりの新入幕優勝を果たした尊富士に土をつけ存在感を示した。さあ、ここから…という時の右膝負傷は痛恨だった。 名古屋の地で、ここは何とか心機一転を期したいところ。2年前の名古屋場所。6場所の出場停止が明けて西三段目22枚目で臨んだ場所で、7戦全勝優勝し復活の道が開けた。出直しを期す意味では最適の場所なのかもしれない。出場した7場所の名古屋場所で負け越しは、自己最高位の東前頭筆頭で迎えた19年の1場所だけ。通算成績も62勝24敗3休と勝率も高い。十両で優勝同点、平幕で三賞受賞、大関で優勝次点と、名古屋場所では好感触があるだろう。最近の本場所では、幕内下位で優勝争いに絡む力士が続出している。朝乃山にとって、ここは踏ん張り所であり、再スタートを切るにも絶好の機会ととらえファンの期待に応えたいところだ。