打者専任でのMVPも評価された大谷翔平の「総合力」 来季はサイ・ヤング賞と同時受賞も
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平(30)が21日、ナショナル・リーグの最優秀選手(MVP)に選出された。エンゼルス時代の2021、23年にアメリカン・リーグのMVPを獲得しており、2年連続3度目の受賞となった。メジャー史上初となった指名打者(DH)専任での受賞に、識者からは「打力だけでなく走力、チームへの貢献度も含めて評価された」といった声が出ている。 【写真でみる】大谷翔平は真美子夫人や愛犬デコピンと受賞喜ぶ 専門局の番組に出演 ■高かった勝利への貢献度 新天地のドジャースで迎えた今季の大谷は、54本塁打、130打点でナ・リーグの2冠に輝き、史上初の「50-50(50本塁打、50盗塁)」をマークするなど、レギュラーシーズンでは圧倒的な数字を残した。 MVPはレギュラーシーズンの成績を対象に全米野球記者協会の会員30人による投票で選出されるが、過去2度の受賞と同様、1位票で満票を獲得した。スポーツ専門局のESPNによると、チームへの総合的な貢献度を示す指標である「WAR」は、リーグトップの9・2だった。 今回の受賞について、大リーグ評論家の福島良一さんは「DHとしての打力だけでなく、盗塁数(59個)からも示される走力やチームの勝利への貢献度も高く、トータルで評価された」と〝総合力〟の高さを指摘。「ベッツら主力選手の故障が相次ぐ中、シーズンを通じて大きなけがもなく活躍した点でも価値がある」と話す。 ■環境の「変化」にも動じず 両リーグでのMVP受賞は、米野球殿堂入りしているフランク・ロビンソン(オリオールズなど)以来、史上2人目。さらに異なるリーグで2年連続の受賞という点では、史上初の偉業となった。 福島さんは「今回の受賞は、移籍という環境の変化にも動じなかった証拠」とした上で「エンゼルス時代の過去2度の受賞と比べて、優勝したチームで(MVPを)受賞できたという点でも意味があるのでは」と指摘する。 直近4シーズンで3度のMVP受賞と、選手として円熟期に入る中、投手としての今季は昨年手術を行った右肘のリハビリに専念。ポストシーズンを含めて登板機会はなかった。来季は投打の「二刀流」復活に挑むシーズンとなるが、福島さんは「コンディション次第だが、投打二刀流でのサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)とMVPとの同時受賞を期待したい」としている。(浅野英介)