「ゆるすぎる」ホワイト企業を若手が辞めていく原因 上司が見落としがちな「認識のずれ」とは?
いかなる企業も、いまやコンプライアンスを遵守することは“世界標準”。そう認識していながら、日本ではいまだ古い価値観を振りかざし、組織や会社を貶める愚行を働く企業人が絶滅することはない。 本連載では、現場でそうした数々の愚行を目にしてきた危機管理・人材育成の4人のプロフェッショナルが、事例を交えながら問題行動を指摘し、警告する。 今回は、大手都銀を経て、経営コンサルタントへ転身した、ファイナンスや人事制度構築等のプロ・二野瀬修二氏が、「ホワイト企業なのに若手が辞めていく」組織のメカニズムについて解説する。
居心地の良さがなぜ、定着につながらないのか
若手層の離職に頭を悩ます企業が増えている。 といっても、職場にパワハラ、長時間労働等が蔓延する、いわゆるブラック企業だけの話ではないから深刻だ。 意外にもブラック企業とは真逆に位置するホワイト企業でも、水準の差こそあれ、若手層の離職が課題になっている。 企業の人事担当者は、会社の将来を担う若手層のリテンション(離職防止)のため、人事制度改定や、ハラスメント防止法(労働施策総合推進法)等の対応を積極的に行っている。それでもなぜ、居心地のいいはずのホワイト企業から若手が去っていくのか…。 こんな調査結果がある。 先日、ある企業が行った、若手層(20代~30代)の仕事の価値観や、働く意識の調査。テーマは「職場のゆるさ」についてだ。 結果は、「職場がゆるい」と感じることがあるとした若手はおよそ3割。なぜゆるいと感じるのか?に対する理由は、「上司から明確なアドバイスがない」が最も多く、「雑用・重要でない仕事多い」が続いた。 職場がゆるい=きつくない、ある意味「ホワイト」な職場でも、「職場がホワイトすぎる」「仕事を通して成長実感がない」と捉え、結果、「職場のゆるさ」を理由に転職を検討する若手層が増えている。それが居心地のいいはずの会社から若手が去る理由のようだ。 もう少し深堀してみよう。制度変更やハラスメント防止などの仕組みが整備され、職場環境は健全に整備されている。しかし、そうした側面ではカバーしきれない企業風土に関しても、現在の若手層は懸念や不安を覚えており、それが離職の要因にもなっているようだ。