名スカウトが選ぶドラフト1位指名すべき逸材
即戦力ではないが、2、3年後を見据えた素材優先の1位指名候補としては、U-18W杯では投打に活躍して非凡さを見せた西純矢(創志学園高)、そして、甲子園出場経験はないが、魅力的な左腕の井上温大(前橋商高)の2人をリストアップした。 「西は気持ちで向かっていくタイプ。あのタフさは買いだ。使い減りしない逞しさもある。井上は、もし甲子園に出場していれば、いやが上にも注目を浴びたであろう左腕。綺麗なフォームで腕がしなる。これだけ形ができている左腕も珍しい。体力をつけ140後半のストレートを常時出せるようになってくれば軸になれる可能性がある」 高校生左腕では、宮城大弥(興南高)と及川雅貴(横浜高)も“外れ1位”候補。 「宮城は腕の振りとステップがほぼ同時に着地する点が少し気になるが、ソフトバンク、巨人で活躍した杉内を彷彿とさせる。及川には、大型左腕がはまりがちな不安定さがあり上位指名は敬遠したい」という見方をしている。 野手の評価の一番手は、選抜の優勝投手でもあった石川昂弥(東邦高)だ。U-18W杯では不動の4番打者として結果を残した。片岡氏は「単独1位指名もあるかも」と予想する。 「センスで言えば、巨人の岡本和真よりもある。木製バットに対応しているし三振が少ない。選球眼がいい証拠。バットの出が柔らかいのでボールを点でなく線で捉えることができて変化球を打てる。“変化球が来たらごめんなさい”のパワータイプではなく、長打も期待できる。石川のような右のスラッガーはなかなか出てこない」 また片岡氏は、夏の甲子園優勝チーム履正社の4番、井上広大も高く評価している。高校通算49本だ。 「素材としては、巨人の岡本、ヤクルトの村上級。甲子園で奥川から打った本塁打は、その舞台設定や集中力も含めて評価できる。体は、高校生離れしているので、プロでは我慢してずっと試合で使っていけば、意外と早く1軍に出てくるかもしれない」 片岡氏は、高校生の野手としては、1位ではないが、上位候補として桐蔭学園の走攻守の揃ったショートストップの森敬斗、中京学院大中京のキャッチャー藤田健斗の名前も挙げていた。 また「大学生の3人のキャッチャーが面白い」という見解を示した。 海野隆司(東海大)、佐藤都志也(東洋大)、郡司裕也(慶応大)の3人だ。 「海野は、サイズが小さい(173センチ、83キロ)のが気にはなるが、スローイングが素早く肩も強い。バッティングも広角に打てる。守りの面で一番評価が落ちるのは郡司。肩がもうひとつ。ただバッティングは、日米野球で左右に2発放り込むなどのパンチ力がある。どのチームもキャッチャーは補強ポイントだけに誰かは1位で消えるだろう」 海野のスローイングタイムは1.7秒台で、プロでもなかなかいないクイックネスだ。それだけでもドラフト指名する価値はあるだろう。 運命のドラフトまであと1日。各チームの水面下での駆け引きはギリギリまで続く。