イラン、イスラエル報復に抑制的姿勢 核協議再開を要求=情報筋
Parisa Hafezi Jonathan Landay [ドバイ/ワシントン 11日 ロイター] - イランはシリアのイラン大使館攻撃を巡るイスラエルへの報復について、事態の急激なエスカレートを避け、性急な行動を取らない考えを仲介国を通じて米国に伝えた。イランの情報筋が明らかにした。 イランのアブドラヒアン外相が7日にオマーンを訪問した際に米国へのメッセージを伝えた。 米情報機関に近い筋はこのメッセージを承知していないと述べた。ただイランは報復が「制御されたエスカレートしない」形で、「地域の代理勢力を使ってイスラエルに一連の攻撃を行う」計画であることを非常に明確にしていると指摘した。 イランがオマーンに託したメッセージは、イスラエルのさらなる行動を抑止すると同時に、米国の介入を招くような軍事的衝突は避けたいというイランの慎重なアプローチを反映している。 イランの関係筋によると、アブドラヒアン氏はオマーンでの会談で、イランの要求が満たされれば緊張緩和に応じる意向を示した。 要求の一つはパレスチナ自治区ガザ地区の恒久的停戦で、もう一つはイランの核開発を巡る協議の再開だと明らかにした。 またイランがイスラエルに対して「制御された攻撃」を行った場合、米国が関与しないという保証を求めたが、米国はオマーン経由でこの要求を拒否したという。 <イランの「難問」> ユーラシア・グループのアナリスト、グレゴリー・ブリュー氏は、イランの最高指導者ハメネイ師は「戦略的な難問に陥っている」と指摘した。 イランは抑止力を回復し、また共闘する抵抗勢力の信頼を維持する必要があるが、報復がイスラエルの大規模で破壊的な反応を招き、米国も支援する公算が大きいとの見方を示した。 イランの情報筋によると、米国はイランに対し自制と外交の活用を求め、直接攻撃があった場合にはイスラエルを支持すると警告した。 イスラエルのネタニヤフ首相がイランを戦争に巻き込むことを狙っているとイランは考えており、そのためイスラエル領土への直接攻撃は避け、代理勢力を活用する可能性があるという。 関係筋は核協議再開によって大惨事を防ぐことができれば、米国は同意する可能性があるとの認識を示した。 合意形成を目指すものでなく議論を行うことが目的であっても、米国が巻き込まれる地域紛争激化のリスクを最小限に抑えられるのなら十分に価値があるように思われると語った。