天草の新ごみ処理施設計画、異例の契約解除へ 天草広域連合が方針決定 「受注業者が虚偽記載」、入札無効と判断
天草広域連合(天草市、上天草市、苓北町)は25日、正副連合長会議を開き、天草市楠浦町に建設予定の新ごみ処理施設に関し、整備運営事業を受注した企業グループ(10社)との契約を解除する方針を決めた。「事業提案書に虚偽記載があり、入札そのものが無効」と判断した。今後、再入札の手続きに入るが、2027年7月に予定していた新施設の稼働は3年ほどずれ込む見通し。大型公共工事の契約が、締結から9カ月もたって解除されるのは極めて異例。契約額は368億5千万円。 双方が損害賠償を要求しない「合意解除」を目指し、6月10日までに企業グループに同意を求めるが、不同意の場合も契約解除を通知する。事業は現在、ごみ処理施設の設計業務の段階で、施設本体は着工していない。 計画を巡っては、受注した川崎技研(福岡市)を代表とする企業グループが当初、広島県福山市に建設する資源化施設に焼却灰を搬入する案を提示したが、今年1月に資源化が困難になったことが判明。埼玉県の施設に搬入する代替案に対し、連合は「精査が必要」として設計業務を一時中止していた。
連合は、企業グループが入札手続きで、福山市の資源化施設が未着工にもかかわらず、「建設途中」と事実と異なる発言をし、訂正もしなかったと指摘。施設は建設のめどすら立っておらず、業務履行は不可能として「契約を解消せざるを得ない」と結論づけた。 計画を巡っては、天草2市1町の住民らが3月、契約の解除などを求めて住民監査請求。連合監査委員が今月23日付で請求を棄却する一方、企業グループの虚偽報告など不当な事実が確認されたなどとして「いったん解除すべきだ」とする「意見」を公表した。 馬場昭治連合長(天草市長)は「当初予定していた福山市での資源化ができず、契約を解消する方針に至った。速やかに新施設を造り、住民生活に影響がないよう努めたい」と話した。(鬼束実里、福井一基)