「ご飯の味がしない…」中学受験をきっかけに摂食障害発症、自身の過去を娘でリベンジしようとした母の暴走「母の死後ようやく“自由になれた”」《中学受験後遺症》
中学受験後遺症#2
中学受験をする子どもの割合が年々増加している。その経験が成長の機会となる一方で、過度なプレッシャーや学習負担が子どもの心身に悪影響を及ぼすことも少なくない。さらに、その影響は成人後まで続くケースも…。今回は、中学受験をきっかけに母親が教育ママ化したことで、小6のときに摂食障害を発症した富山玲奈さん(仮名・30歳)に話を聞いた。 【画像】受験のプレッシャーで摂食障害を発症し、体重は20キロ台に…
娘の好成績を近所に自慢、暴走し始めた母親
会社員の父親と保育士の母親のもと、関西で生まれ育った玲奈さん。母親は教育熱心で、玲奈さんはピアノに習字、スイミングや公文など、幼いころから多くの習い事をこなしていた。 「もともと教育熱心な母親でしたが、様子が大きく変わったのは小4で中学受験を決めたときからです。母親が勝手に志望校を決めて、中学受験をすすめてきました」(玲奈さん、以下同) 母親が志望校に掲げたのは、関西の難関校A中学。母親はA中学に憧れとステイタスを感じており、何がなんでも玲奈さんを合格させたいと思っていた。その思いをさらに強めたのが、玲奈さんの成績だった。 玲奈さんは幼いころから勉強が得意で、中学受験のために入った塾でも成績は常にトップ。大手塾が主催する全国オープン模試では、算数で全国10位台も記録している。 「初めて受けた全国模試の順位を見て、母が色めき立つのがわかりました。そこから急に、『玲奈ちゃんは絶対にA中学に行くんだよ』『A中学に行かなかったら、地元の公立中学に行くことになるよ。そんなことは許されない』と、毎日のようにプレッシャーをかけてくるようになりました」 玲奈さんは、プレッシャーに負けじとさらに勉強し、成績を上げていった。しかし、良い成績を取れば取るほど、母親は暴走する一方だった。 「友達のお母さんや近所の人に『玲奈がテストで〇点とった』から始まり、『うちの子は中学受験する』『A中学を受ける。模試の結果も良い』と自分の自慢話のように私の成績を言いふらすようになりました。それがどんどん重荷になっていきました。 でも、その苦しみから逃れるためには、結局勉強するしかなかったんです。言いふらしている以上、不合格になるわけにはいきません。『A中学に合格しさえすればいい』と自分に言い聞かせて、勉強をしました」 母親に言われるがまま、なんとなく受験勉強を始めた4年生のころとは状況も一変。 6年生になると、放課後はすぐに塾に行き、夜遅くまで勉強する日々。土日もほぼ1日、塾にこもり、勉強に没頭した。