坂本花織「ぶっ飛ばしていこう」 攻めの気持ちでNHK杯を優勝してさらに進化
【些細なコンディションを敏感に感じ取る】 わずかにミスがありながらも、フリーは今季世界最高の152.95点。坂本は納得しながらも「まだまだ」という意識を持つ。 「フリップの回転不足があったし、ステップシークエンスもこれまでの4試合すべてでレベル3のまま。次の試合までにしっかり改善して、オールレベル4を取り、すべての要素を高いクオリティにしたいと思っています」 攻めの姿勢を持って挑めた背景を坂本はこう語る。 「朝の公式練習で3回転+3回転は転倒してしまったんですが、ちょっとスピードを落として守りに入ったための失敗でした。『今日は守りには入らないほうがいいな』というのを練習で感じて、本番は思いきって。後半どうなろうと、とにかく3回転+3回転は決めようという気持ちで挑み、自分のなかではベストな3回転+3回転が跳べたかなって思ったので、そこからは曲と同様に乗っていくことができました」 些細なことでも細心の注意を払って反応し、その要因や解決法を考えていく。そんな姿勢も彼女の進化の一つなのだろう。 毎回のように「手足の震えが止まらないほど緊張する」と言いながらも、大舞台では勝負強さを見せ続けてきた坂本。今回のフリーの攻めの滑りは、彼女のさらなる進化を確信させた。
折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi