なぜ、三日坊主は治らない? 原因にある「脳の防衛本能」の正体
「悪い習慣」はやめられず、「よい習慣」が続かないのはなぜ?
「悪い習慣」をやめようとすればするほど、ついやってしまうのには理由があります。 それは、「脳は否定形を理解できない」からです。 では、一つ試してみましょう。突然ですが、次の文を読んでみてください。 ピンクのカーテンを、想像しないでください あなたは今、何を思い浮かべましたか? この文を読んだ瞬間に、「ピンクのカーテン」が勝手に頭の中に浮かんできたのではないでしょうか。 つまり、私たちが「今度こそ、クヨクヨするのをやめよう」「いいかげん、夜更かしをやめなきゃ」と思うたびに、「小さいことにクヨクヨする自分」や「夜更かしを楽しんでいる自分」を、脳はイメージしてしまうのです。 すると、脳は自動的に「クヨクヨし続ける」「夜更かしし続ける」方向で動いてしまいます。やめようと思えば思うほど、やめられなくなってしまうわけです。 一方で、自分にとって「よい習慣」が長続きしないのは、行動のハードルが高すぎるからです。目標実現の専門家として、経営者やオリンピック選手など7800名以上の方のサポートをしていく中でわかったことは、先延ばしせず、よい習慣を身につけられる人は、最初の「行動」を小さいものにしているということです。 たとえば、「毎朝30分のエクササイズ」を習慣化したい場合、初日はなんとか頑張れます。でも、飲み過ぎた翌日、残業で疲れが溜まっている朝、寒い日などに「めんどくさいな」「今日はエクササイズなんてしたくないな」と思って、挫折してしまうわけです。 多くの人は、高い目標を掲げて、短期間で劇的に変わろうとしますが、小さな変化が積み重なって変わっていくのが、先述した脳の防衛反応にも打ち勝てる、自然なメカニズムです。
よい習慣で自分を変えるために
ここからは習慣を味方にして、なりたい自分になるための方法をご紹介します。 ある行動を瞬間的なブームではなく、しっかり「習慣」として定着させるためには、ポイントが2つあります。 1つ目は、心底「やりたい!」と思ったことや、自分の人生にとって大切なことだけを選んで、習慣化に取り組むということです。そのためには、単なる数値目標ではなく「ぶっとんだ目標」をたててみてください。 「ぶっとんだ目標」とは、あなたにとって魅力的で心が踊るような目標です。「未来にどうしてもたどりつきたい!」。そんな「ぶっとんだ目標」が見つかったとき、人は「その気」になるのです。 「悪い習慣」をやめた先には、どんなワクワクする未来が待っているだろう? 「よい習慣」が続いたとしたら、どんな夢が実現するだろう? まずは、もしうまくいったら「こうなる」というものを、イメージしてみましょう。 2つ目は、行動するときに「めんどくさいなぁ」「続けるのがしんどい」と思えないくらい簡単なことから始めることです。 ここで効果を発揮するのが「10秒アクション」です。「10秒アクション」とは、文字どおり、まず10秒でできる行動をすることです。どんなときでも、人は10秒なら行動できます。また、10秒間の小さな行動であれば変化を嫌う脳にも対応できます。 たとえば、「毎朝30分のエクササイズ」を習慣化したい場合には、「エクササイズ中に聞くテーマソングをかける」「ゆっくり深呼吸する」「ジョギングシューズをはく」ということでいいのです。 10秒試してみて、スムーズにいくのであれば、そのまま続けてしまいましょう。もしうまくいかなかった場合は、たった10秒ですから、すぐに別の「10秒アクション」を試すこともできます。 目標は情熱的で限りなく高い「ぶっとんだ目標」を、そして行動は今すぐできる「10秒アクション」から、ぜひ試してみてください。
大平信孝(メンタルコーチ)