「夏の聖地」復興発信 初の福島県固定開催 インターハイ男子サッカー開幕 Jヴィレッジで開会式
福島県固定開催となって初の全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技が26日、開幕した。主会場のJヴィレッジ(楢葉・広野町)で開会式を行い、予選を勝ち抜いた全国52チームが一堂に集った。期間中は選手をはじめ関係者ら延べ5万人の来訪が予想されている。東京電力福島第1原発事故対応の前線基地からよみがえった復興の象徴の地でサッカーを通して福島の今を発信する。 開会式には各チームの代表3選手が臨んだ。全国高校体育連盟(全国高体連)サッカー専門部の玉生謙介部長が福島県固定開催となった経緯を紹介。日本サッカー協会(JFA)の湯川和之専務理事が25日に記録的大雨となった秋田、山形両県を念頭に「被災地を元気づけるフェアプレーをしよう」と呼びかけた。 開会式に先立ち、いわき総合、平商など県内の高校生が歓迎のフラダンスを披露し、緊張する選手たちを和ませた。 Jヴィレッジは東日本大震災発生後、原発事故収束に向けた前線基地となった。グラウンドの天然芝には鉄板が敷かれ、作業員の駐車場や重機・資材置き場として使われた。
2019(平成31)年4月に全面再開し、2021(令和3)年3月には東京五輪聖火リレーの出発地に。内堀雅雄知事は開会式でその経緯に触れ、「逆境を乗り越え、新しい歴史がつくれると証明した場だ。選手の皆さんも苦難を乗り越えてここにたどり着いた。かけがえのない心に残る大会にしてほしい」と述べた。福島県代表・帝京安積の主将平野瑛大(3年)が選手宣誓を務めた。「サッカーを通じて全国、被災地を盛り上げる。最後の一秒まで諦めず戦う」と堂々と誓った。 男子サッカー競技は各都道府県の持ち回りで開催していたが、JFAと全国高体連は猛暑下のプレーを避けるため冷涼地での開催を模索し、宿泊や試合環境が整ったJヴィレッジでの固定開催が決まった。 ■帝京安積と尚志 28日の2回戦から 競技は27日から始まり、浜通りの6会場で8月3日まで熱戦を繰り広げる。福島県代表の帝京安積と尚志は28日の2回戦から登場する。
帝京安積は昌平(埼玉)―尽誠学園(香川)の勝者とJヴィレッジスタジアムで、尚志は近江(滋賀)―徳島市立(徳島)の勝者と住鉱エナジーマテリアルNARAHAピッチ(楢葉町総合グラウンド多目的運動場)で対戦する。いずれも午前9時30分試合開始予定。