新設データセンターの電力需要は原発1基分「政治的議論が必要」石川和男が指摘
政策アナリストの石川和男が7月28日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。増え続けるデータセンター需要に対する電力不足問題について専門家と議論した。
生成AIの普及で、世界的に進むデータセンターの新設。日本国内でも大都市周辺を中心に需要は旺盛で、総務省によると市場規模は2020年からの5年間で約2倍の3兆円規模に膨れ上がると予想されている。 一方で、懸念され始めているのが電力不足問題。国際エネルギー機関(IEA)によると、オープンAI 「Chat GPT」の回答にかかる消費電力量はグーグル検索に比べて10倍程度大きいとされ、今後も処理データは増加の一途が見込まれている。 国内の電力需要は、人口減少や省エネ技術の進歩などを背景に2007年度をピークに減少傾向にあったが、近年のデータセンターの建設増加で、今年度には増加に転じるとの予測もある。 ゲスト出演したエネルギー経済社会研究所代表の松尾豪氏は「(2007年度をピークに減少傾向にあった)電力需要は10年くらい前に戻る見通しが政府から出ている。例えば、いま千葉県印西市で計画されているデータセンターでは合計約100万キロワットの電力を必要とする。これは原発1基分に相当し、一般家庭20万~30万世帯分に及ぶ。これくらいの電力需要が印西だけで伸びそうということなので、国内で計画中のデータセンターすべてを合わせると、すさまじい量の新たな電力消費になる」と言及。「今、発電所も長期脱炭素電源オークションという仕組みができて、発電所をリプレイス(置換)しましょうという動きがあるが、リプレイスじゃだめ。新設をしなきゃいけない。要するに足りないということ。古いものは残して、新しいものを作らなきゃいけない。古いやつはいつでも潰せるでしょという発想が必要」と述べた。 石川は「電気は足りなくなると人の命に直結する。例えば夏だと、熱中症で人の命が奪われる可能性がある。そこが他のインフラと違うところ」と指摘。「今後、生成AIなどの普及で増える電力需要について、受益者負担の観点からも誰がするのかなど、政府がちゃんとテーマに乗せて、政治的議論を進めることが必要」と述べた。