居心地良い空間創出を 釧路まちづくりフォーラム
北海道の釧路市が主催する「釧路都心部まちづくりフォーラム」が21日、市観光国際交流センターで開かれた。基調講演やパネルディスカッションのほか、市民意見を取り入れた駅周辺の将来イメージをバーチャルリアリティー(VR)で製作した動画が初めて公開され、305人の出席者が鉄道高架化を軸としたJR釧路駅周辺の再整備や中心市街地の活性化について理解を深めた。 3回目となる今回のテーマは「多様な過ごし方で暮らしを豊かにするまちづくり」。フォーラムは3部構成で行われ、第1部は北海道大学大学院教授の高野伸栄氏が、事業内容やこれまでの経過、市民意見を取り入れるために昨年開いたワークショップの成果などについて報告した。その後、北大通から駅に向かって歩くVR動画が公開され、出席者が中心市街地の将来イメージを膨らませた。 第2部は、地域主導のまちづくりなどを支援するGrooveDesigns代表の三谷繭子さんが、居心地の良い空間や場所をつくる「プレイスメイキング」をテーマに講演。地域の環境資源を生かす事例として「座り場」「眺め場」「話し場」など八つの場の要素が重要とした上で、「場をいくつか組み合わせることで居心地の良い場をつくり出せ、居やすい場があると人は巡る」とし「まちと人々を結び付け、誇りと愛情を生み育ててほしい」と語った。 第3部では高野氏がコーディネーターを務め、三谷さん、国交省都市局都市政策課課長補佐の今佐和子さん、釧路観光コンベンション協会DMO推進室の佐藤明彦さん、釧路市地域おこし協力隊の小野寺理江さんを迎え、「多様な過ごし方をかなえるために、今できることと将来のまちづくり」をテーマにパネル討論を行った。 中心市街地におけるプレイスメイキングについて、佐藤さんは「釧路駅、北大通、リバーサイドを移動する楽しみを想像できるまちづくりが欠かせない」、小野寺さんは「目的地までの寄り道や時間つぶしができる場づくりが必要」などと指摘。昨今のまちづくり事情について、今さんは「世界的にもまちづくりは車中心から脱却傾向にあり、日本でも人を中心としたウォーカブルが重要になってくる」と語った。
釧路新聞