「秘境駅清掃人」監督と主人公が思い語る 伊那の映画祭で上映【長野県天龍村】
長野県天龍村が主な舞台となっているドキュメンタリー映画「秘境駅清掃人」の短縮版が、26日に伊那市のかんてんぱぱ西ホールで開幕した第6回伊那VALLEY映画祭で上映され、太田信吾監督(38)と主人公の高橋祐太さん(28)らが制作意図や思いを来場者に語った。 秘境駅の小和田駅(浜松市天竜区水窪町)周辺をはじめとする長野、静岡、愛知の県境域に休日を利用して通い、清掃活動や崩落した土砂の撤去作業を続ける愛知県半田市の会社員、高橋さんの姿を追った作品で、完成版の公開に向けて現在も撮影と取材が続いている。 短縮版では、使命感を胸に清掃を続ける高橋さんに密着しつつ、天龍村をはじめとする周囲の人々と交流する様子も収録している。 アフタートークの中で太田監督は「私が学生時代に合宿した天龍村から紹介された高橋さんが、清掃を娯楽と考え、楽しみながら活動していることに興味を持った。過疎地をどう守るかは大事なテーマだと思い、撮り始めた」と撮影の動機を語った。 土砂の撤去作業について来場者から質問を受けた高橋さんは「精神的な苦労は全くない。期間が長いほど生きがいを感じる」と応じた。 完成版には自閉症の高橋さんが、人との関わりを通して変わっていく様子に加え、難工事の末に誕生した飯田線の歴史も盛り込む予定。 伊那VALLEY映画祭は28日まで。最終日は「教育」をテーマに、文化庁映画賞文化記録大賞を受賞した「ある精肉店のはなし」など3作品を上映する。