井上尚弥の初体験…ネリに奪われたダウンの真相を語る! その瞬間思ったのは…「テンション上がりましたね。ワクワクしましたよ」
初体験のダウン。思い出したのは…
――日本中が凍りついたダウンでしたが、あれはネリのパンチが「意表を突いた」ということでしょうか。 「意表を突いた部分もあるし、映像を見返すと自分のガードがちょっとラフになっていた部分もあります。いずれにしても、自分がネリのパンチの軌道をインプットする前に、ちょっと近づきすぎたというのはあったと思います」 ――試合でのダウン、初体験ですよね。ちょっと思い出したのは、'19年11月のノニト・ドネア第1戦です。序盤に眼窩底骨折、出血もしてダウン寸前のピンチも味わって、試合後に井上選手は「これでプロボクサーになれたような気がする」と発言しました。初ダウンでもそんな気持ちになったのかなと想像したんですけど……。 「いや、そういう感じはなかったんですけど(笑)。だけど思った以上にテンションは上がりましたね。なんかワクワクしましたよ。もう、なんて言うか、逆に燃えてきたぞって感じでした」 ――テンションが上がったとはいえ、失点をすぐに取り戻そうと熱くなったりはしませんでしたね。 「たとえテンションが上がったとしても、やるべきことってありますから。ダウンした瞬間に思ったのは、ポイントを計算して勝ちにつなげること。この時点で8-10のビハインドです。だからまずは2、3ラウンドを確実に取ってイーブンにしようと。1ラウンドが終わったインターバルで、ちゃんと上にあるモニターでダウンシーンを見返して、どの角度からパンチをもらったかを確認する余裕がありました。だから2ラウンドからはしっかり戦えた。修正する余裕があったんだと思います」
確かにダウンは初めてかもしれないけど…
――繰り返しますが初ダウンです。イメージトレーニングをしていたということですけど、あの冷静さはやっぱりさすがだと思わずにはいられません。 「みなさん『カウント8までしっかり待ってから立った。冷静だ』とか言うんですけども……。いやいや、自分は4回戦とか6回戦の選手じゃないんですよと言いたいです(笑)。確かにダウンは初めてかもしれないけど、そういう対応はダウンしたときの基本ですからね」 ◆◆◆ 初ダウンを喫するも、見事なTKO勝利を飾ったモンスター井上尚弥。後編では、今後の展望を明かしています。 <続く>
(「NumberPREMIER Ex」渋谷淳 = 文)
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