景色を楽しむ観光地も…実は活火山 いつかは起きる噴火 被害は甚大に イメージが付かない災害だからこそ備えが重要
避難行動の周知に課題も
しかし、土地勘のない県外からの観光客も多く、具体的な避難行動をどこまで周知できるかには課題も残る。西村真一所長は「周辺の登山道がどう繋がっているかというのも分かっていないと、避難の判断ができないと思う。出発前に地図を確認して、避難経路を自分で想定して登山を始めることが大事」と話した。
御嶽山はレベル1で噴火
2014年9月27日、秋空の広がる登山日和に長野県と岐阜県の境にある御嶽山では水蒸気噴火が起こった。噴火する2週間前から火山性地震が増える前兆は記録されていたが、久しく噴火していないから、気象庁も事前に噴火警報を発出できなかった。だから山頂にいた登山者の多くが犠牲となった。 だからこそ「活火山は噴火するという前提で付き合い、正しく怖れて、その時にどうすればよいかを考えておくべき」と東京大学大学院の客員教授で防災行動や危機管理の専門家・防災マイスターの松尾一郎さんはいう。
火山噴火に対応する防災訓練
「火山防災の日」は、国や自治体に防災訓練などを促すために設けられた日でもある。2024年8月に行われた福島県の訓練には、防災マイスターの松尾さんもアドバイザーとして参加した。福島県を中心に、自治体や警察・消防・自衛隊などが連携し「磐梯山での噴火発生」を想定した訓練では、登山者の避難誘導や県民への的確な情報発信について、それぞれの役割を確認した。
常時観測で異変を察知
福島県には5つの活火山があるが、このうち、吾妻山、安達太良山、磐梯山については気象庁が常時観測を行っている。 震度や山の傾きを計測する装置や監視カメラなどを備えた観測点が、磐梯山には12カ所設置されていて、2022年12月末に多発した地下のマグマの移動などで発生する揺れ=「火山性地震」も捉えた。
山を知る
磐梯山は1888年に噴火し、11集落を埋没させ、死者477人、負傷者28人の甚大な被害を発生させたと伝えられている。 近くの自治体などは、連携してハザードマップを作成し、「いざというとき」の対応を呼びかけているが、その情報を積極的に取りに行かなければ、自分の身を守ることはできない。 登山に紅葉、ウインタースポーツと四季を通じて私たちを楽しませてくれる山々とうまく付き合うために私たち自身も「山を知る」ための一歩が必要だ。 常時観測火山は、気象庁などの機関が火山を監視していて、危険な状況になったら噴火警報を発表する。それを受けどのように対応するかを、周辺の市町村や観光事業者は予め防災行動計画を決めておくしかない。 住民や観光客は、自治体のホームページなどには、ハザードマップや噴火警戒レベルに合わせた行動、避難場所が掲載されているので確認をしておくとよい。 火山防災も、他の災害と同様に事前の備えが重要になる。2024年から制定された火山防災の日をきっかけに、私たちも意識することが大切だ。 (福島テレビ)
福島テレビ