10人いれば自分を嫌う人は1人はいて…では好かれる人数は?ママ友付き合いについて精神科医が解説|STORY
コロナ禍での「ランチは4人以下の少人数で……」そんな暗黙の制約もなくなり、誰とでも自由に会えるようになった今、復活した交友関係に傷ついたり、とまどったり……。“会う”ことの特別感を知った今だからこそ、真っ向から「女友だちって何――?」を精神科の樺沢さんに伺いました。
ママ友って、本当に友だちですか?
\精神科医 樺沢紫苑先生教えて!/ 精神科医、作家。「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンにYouTubeやメルマガなど累計100万フォロワーに精神医学や心理学、脳科学の知識を発信。『精神科医が教える ストレスフリー超大全』など著書多数。 友だちは多いほうがいい–そう思う人は多いかもしれませんが、「友だち100人できるかな」は社会学的・心理学的に不可能です。 社会学者ポール・アダムスによると、人間関係は下の表のように8パターンに分類されますが、強い絆で結ばれる「親友」「相談相手」は5人以下、親友に至っては1~3人程度しか作れないと言われています。 私の考えでは、“友だち”と定義できるのは、本当に困ったときに相談できる存在。この表の中では「親友」「相談相手」にあたります。そう考えると、いわゆる“ママ友”は、この表の中では「仲間」に当たる場合がほとんどでしょう。 新しい春、クラス替えで新しい“ママ友”とのお付き合いに悩む人も増えると思いますが、どんな人間関係にも距離感が大切。心理学の「ヤマアラシのジレンマ」という概念は、寒い中で体を寄せ合うと棘が刺さるし、離れると寒い、という人間関係のジレンマを上手く言い得ています。特に“ママ友”とは、距離感が近すぎると束縛し合って居心地が悪くなったり、些細なひと言で傷ついたりしがちです。春はランチ会なども増えると思いますが、情報収集の場と捉えて参加し、“〇〇ちゃんのママ”の仮面を被り、ママの顔を演じる場と捉えれば、距離感もとりやすくなるでしょう。 また、全員と仲良くしようとすると、それがストレスとなります。「好意の1:2:7」という法則があり、人が10人いると1人は自分を嫌う人がいて、2人は好意を持ち仲良くなれ、残りの7人は中立、といった割合です。どんなグループに所属していても、反りが合わない人はいるものです。だから、そんな人に出会った場合、「モンスターが出た!」と思って、やり過ごしましょう。 それでも、付き合う中で“ママ友”から真の“友だち”と呼べる関係に変化する場合もあります。それは、自身が“一緒にいると楽しいという感覚”で、癒しの物質・オキシトシンが出る人。“嫌い”に注力せず、自身の直観に正直に、一緒にいると楽しい人との関係を深めていくことが、楽しく生きるコツです。
人間関係は8つのタイプで分類できる
社会学者ポール・アダムスによる人間関係の8分類。「親友」から「癒し手」までを強い絆と定義。さあ、あなたが“友だち”と呼ぶ人はどこに分類される? 取材/佐藤奈保子、香取紗英子、山本亜矢 ※情報は2024年3月号掲載時のものです。