不可能なロケも熱海なら実現? バラエティ制作を徹底サポートする行政マン
ツイッターで熱海が拡散される
今や多くの自治体がシティプロモーションを掲げ、映画制作やドラマ誘致、キャラクター活動などを行い、少なからぬ税金を投入して地域をアピールしている。熱海市の場合、特徴的なのはお金はかけずに市職員自らがAD業の一部を担う、情報と労働を提供することで番組制作を呼び込んでいる点だ。 しかも、他が敬遠する芸人バラエティ番組の制作を逆に歓迎して強力にサポートしている。「熱海の観光客の7割は首都圏からのお客様。東京キー局が制作するバラエティ番組はこの層に大きな影響力がある」と山田さんは話す。 東京キー局制作のバラエティ番組でロケ地として熱海がしばしば紹介されることで、従来の老舗温泉街的なイメージが払拭され、若い世代、特に女性が熱海に訪れるようになったという。人気芸人やタレントが「今、熱海でロケ」などとツイートすることで、ネット上に熱海が一気に拡散され、ロケを見た住民や観光客らもネットで発信することから二重三重の効果を生んでいるという。
2012年度以降、宿泊客数も10~20万人規模で増加
山田さんの説明によれば、ADサポート業務を始めた2012年度以降、熱海市のロケ実績は大幅に増加し、2014年度以降は年間100本を越え、今年度も100本を越えているという。市観光経済課によれば、宿泊客数も2012年度以降、10~20万人規模で増加しており、2015年度には、2001年度以来となる300万人台を達成。 齊藤栄市長も公式の場で「東日本大震災に伴う風評被害により、熱海のお客様は過去50年間で最も少ない236万人まで落ち込んだ。翌年の平成24年から積極的にメディアプロモーション、いかに熱海をテレビで取り上げていただくかということを本気になって職員と取り組んだところ14年ぶりに300万人を越えることができた」と話しており、ADサポート業務を高く評価しているようだ。 「テレビ制作をサポートすることで、多くの費用をかけることなく莫大な宣伝効果が期待できる。熱海の街のイメージが固まったら、新しいことにも挑戦してみたい」と山田さん。市では山田さんに続くADサポート業務を担う人材の育成も検討しているようだ。