右肩下がりの教員人気、受験倍率10年で最低 「教員、増やすには?」辞令直後の新米先生に聞いてみた
鹿児島県内の公立学校の教員不足が深刻だ。新規採用者のうち臨時的任用教員(臨時教員)の経験者は4割を占め、新卒者は割合を減らしている。どうすれば、担い手を増やせるのか。現場を知る臨時教員経験者らに聞くと「外部委託できる業務は多い」「休みが取りづらい」といった課題が見えてきた。 新年度は目の前なのに先生がいない…鹿児島県教委が臨時教員2000人募集 特設サイト開き猛アピール
1日、辞令を受けた新採教職員31人の声を拾った。 「会計事務や花壇の手入れ、プール掃除など、外部に頼める仕事は少なくない」。臨時教員経験者で小学校に配属される女性(25)は、働き方の見直しを求める。私立学校で管理職経験がある男性(44)は「デジタル対応など業務が多様化する中、しっかり休める環境づくりを」と訴えた。 教員の人気は右肩下がりで、2024年度の県内公立学校教職員の受験倍率は過去10年で最低の2.2倍に。臨時教員も足りておらず、県教育委員会によると、3月29日時点で38人の欠員が埋まっていない。 新卒者からは、やりがいや魅力の発信を求める声が目立った。恩師に憧れて特別支援学校教員となった女性(22)は、ブラックな職場というイメージの払拭に加え「手当てなどの待遇を改善する必要があるのではないか」と提案した。 今春大学を卒業し、中学教員となる男性(22)は、採用試験の実施時期に課題があると分析。「早い時期に企業の内定をもらって、待ちきれず教員を断念した人も少なくなかった」と明かした。
教員採用が学生の売り手市場となった結果、今春の新規採用者のうち臨時教員経験者は42.1%を占める。1年経験した男性(23)は、先輩の助言や声掛けに助けられたと振り返り「職場の雰囲気づくりが大切」。20年以上のキャリアがある50代女性は「学校現場は時代の流れに合っていないところがある。昔ながらのしごき体質が残り、少々体調が悪くても休めない。まじめで、いい人ほどつぶれがち。もっと若い先生に寄り添ってほしい」と求めた。
南日本新聞 | 鹿児島