富国生命、年度内1~2回利上げ想定-20年2%接近で円債投資積極化
(ブルームバーグ): 富国生命保険は、日本銀行が2024年度内に1回ないし2回の追加利上げに動くと予想している。市場が利上げを織り込み、20年債利回りが2%に接近すれば、年度下期に超長期債投資を積極的に積み増す方針だ。
森実潤也財務企画部長は11日のインタビューで、米国経済はソフトランディング(軟着陸)が可能で、日銀は金融緩和度合いの修正を着実に進めていくと予想。「年度内に1、2回の利上げを想定している」とし、金融市場で織り込みが進めば、金利水準は「手を出したい水準まで上がってくる」との見方を示した。
具体的には「10年で1%台に乗り、20年が1%台後半まで行けば、われわれの目線にある程度届く可能性はある」と指摘。20年金利が2%に接近すれば、残高削減を計画している年度全体で積み増しに転じることも「十分ある」と述べた。
富国生命を皮切りに、生命保険会社各社が下期運用方針を公表する。超長期債はこのところ軟調(金利は上昇)に推移しており、需給の悪さが目立っている。超長期ゾーンのメインプレーヤーである生保の買い出動への期待は強いが、足元の金利水準は生保の買い目線にまだ届いていないようだ。
富国生命が4月に示した年度計画で、円建て公社債等の残高は450億円削減する見通しだった。8月上旬の金利低下局面で売却し、上期に残高を800億円削減。下期は650億円の積み増しを計画しており、年度を通じた残高削減は150億円にとどめる。森実氏は、20年や30年のゾーンで2%台前半まで上昇すれば、「キャッシュを取り崩して積み増すことも考えている」と言う。
外債については、ヘッジコストが高く投資妙味のないヘッジ付きは、計画通り残高ゼロを維持。オープン外債は米国の超長期債を中心に上期に250億円積み増した。下期はいずれも積み増さない。森実氏は「米国は利下げを継続するので、われわれが望む収益が高い外債は買えない」と言う。