トランプを選んだ米国民の声「最も大事な3つは家族の価値と生命尊重、宗教」
大都市圏でも躍進
米国勢調査局の推計に基づくと、ヒスパニック系市民は白人に比べて労働者と大卒資格のない人が多い。 またヒスパニックは平均的な米国人よりも若い傾向があるので、資産形成の時間が相対的に乏しく、近年のインフレや住宅ローン金利高騰といった経済的問題の影響にさらされやすい。 そして18歳から29歳までの有権者においてトランプ氏の得票率は43%と、20年から7ポイント高まった。 ヒスパニックに選挙へ行くよう呼びかける超党派団体、ウニドスUSラティーノ・ボート・イニシナチブのクラリサ・マルティネス・デカストロ氏は「共和党は経済で有権者とつながるという面では常に民主党に勝っている。今回の選挙は経済に関する国民投票であり、ヒスパニック有権者にとってそれが一貫して争点の上位だった」と述べた。 一方、前回大統領選でバイデン氏が制した激戦州の1つ、アリゾナで、今年米国の市民権を取得して初めて選挙に行ったメキシコ生まれのアルトゥーロ・ラグーナさん(28)は、トランプ氏に一票を投じた。共和党の保守主義と人工妊娠中絶規制に賛成するトランプ氏の姿勢が理由だ。 ラグーナさんは「最も大事な3つは家族の価値と生命尊重、宗教で、ハリス氏がそれらの価値観を代表するとは感じない」と語った。 ほぼ全ての開票作業が終わった地域で見ると、全米約2200の郡でトランプ氏の得票率は前回大統領選より5ポイント伸びている。 こうした幅広い躍進は、トランプ氏が非大卒者の間で支持を増やしたのが一因だった。非大卒者はさまざまな人種や民族にまたがり、5日の投票日時点で有権者の半数超を占めていた。 非大卒者でトランプ氏の得票率は約56%と、前回大統領選に比べて6ポイント上積み。大卒者ではハリス氏が55%の票を得たが、この比率は前回大統領選でのバイデン氏の割合から変わっていない。 また、トランプ氏は自身が勝利した16年の大統領選で従来の共和党候補よりもずっと多くの白人労働者層を取り込むことに成功し、今回もその優位をおおむね維持した。白人労働者層の得票率は66%と、前回大統領選から1ポイントしか下がっていないことがエジソンリサーチの出口調査で分かる。 さらにトランプ氏の非白人・非大卒有権者の得票率は8ポイント上昇。民主党が勝利する上で重要だった大都市圏の一部でもトランプ氏は大きく票を伸ばしている。 ニューヨーク市のすぐ東にあるロングアイランドのナッソー郡では、トランプ氏の得票率が約52%に達した。 6日午前の段階で開票作業がほとんど終わっていた25の大都市を含む郡では、ハリス氏の得票率が60%と、前回大統領選のバイデン氏を5ポイント前後下回り、大統領選の民主党候補としては少なくとも12年以降で最低を記録した。
Jason Lange, Bo Erickson and Brad Heath