津久見市新庁舎の移転先は?「海沿い」か「山沿い」か 南海トラフ津波で全域浸水…山沿いは土砂災害警戒区域 市民の判断は
大分県津久見市では新庁舎の整備を巡り、海沿いの埋め立て地か、山沿いの中学校跡地の2案について方向性を決めるための住民投票が21日に実施されます。争点は費用と災害リスク――市民はどう判断するのでしょうか? 【写真を見る】津久見市新庁舎の移転先は?「海沿い」か「山沿い」か 南海トラフ津波で全域浸水…山沿いは土砂災害警戒区域 市民の判断は ■南海トラフ津波で全域浸水…山沿いは土砂災害警戒区域 本庁舎が築65年経過して老朽化が進む津久見市役所。市は津久見港の埋め立て地に新庁舎を建設する計画を進めていましたが、去年12月に状況が一変しました。任期満了に伴う市長選挙で現職が破れ、新人の石川正史新市長が初当選。石川市長は埋め立て地案に反対し、津波の危険性がない「第二中学校跡地」を活用する案を掲げていて、公約通り2択で住民投票を実施することを決めました。 石川市長: 「海沿いのところで今の形の庁舎を望んでいるのか、私が提案する第二中学校跡地を利用する移転を望んでいるのか、住民投票でみなさんの気持ちを確認したい」 総事業費は、 埋め立て地案…44億円 中学校跡地案…17億円 市の実質的負担額は、 埋め立て地案…19.2億円 中学校跡地案…15.9億円 埋め立て地案では、国の緊急防災事業を活用して25億円の補助を受けられるため、総事業費と比べて市の負担額の差が小さくなります。 田辺記者: 「こちらの砂利のスペースが新庁舎の予定地です。津久見港に隣接していて南海トラフ巨大地震では3メートルの津波浸水が想定されています」 また、住民投票の大きな争点となるのが災害のリスクです。南海トラフ巨大地震の想定では、津久見市中心部のほぼ全域が浸水します。埋め立て地案では地震や津波などに耐えられる構造ですが、津波の被害が深刻なエリアにあります。第二中学校跡地案は津波の危険性はありませんが、土砂災害警戒区域内にあり、特別警戒区域にも隣接しています。 津久見市警固屋区の神田敏和区長: 「2017年の台風のときに土砂が流れ、家は倒れていないけど浸水被害が出た」 すでに県の事業で砂防ダムが1か所整備され、もう1か所も今年秋に着工予定ですが、急傾斜地の対策も必要です。